イギリス領ソマリランド

イギリス領ソマリランド：アフリカの角に存在した保護領の歴史

イギリス領ソマリランドは、1884年から1960年まで、アフリカの角に位置する地域をイギリス帝国が保護領として統治していた時代を指します。現在のソマリランド共和国にあたるこの地域は、激動の歴史を経てきました。

保護領成立の背景

1870年代まで、この地域はムハンマド・アリー朝の支配下にありました。しかし、1884年にイギリスがアデンに駐留していた軍隊を派遣し、ソマリランドの各部族と協定を締結。1887年には正式にイギリスの保護領となりました。当初はイギリス領インド帝国の行政下におかれましたが、後にイギリス外務省、そして植民地省の管轄へと移管されました。

ダラーウィーシュ国の抵抗

1899年、ソマリ族の宗教指導者モハメド・ビン・アブドラ（マッド・ムラー）が、イギリスの内陸進出に反発し、ダラーウィーシュ国を建国。イギリス勢力に対する抵抗を試みましたが、1920年に和解しました。この間、イタリア王国が内陸部の支配権を確立し、イタリア領ソマリランドを成立させています。

第二次世界大戦の影響

第二次世界大戦中の1940年8月、イタリア軍がイタリア領東アフリカからイギリス領ソマリランドに侵攻し、ベルベラを占領。一時的にイタリアの支配下に入りました。しかし、1941年3月には連合軍が上陸作戦を行い、イギリスが奪還に成功しました。

ソマリランド国として独立、そしてソマリアとの統合

再びイギリスの施政下に戻ったイギリス領ソマリランドは、1960年6月26日にソマリランド国として独立を果たします。しかし、これは同年7月1日に予定されていたイタリア信託統治領ソマリアの独立を見越して、統合を目的としたものでした。わずか5日後、両地域は統合され、ソマリア共和国が発足しました。

ソマリランド共和国の再独立

1990年、ソマリアでモハメド・シアド・バーレ政権が崩壊。1991年には、ソマリア民主共和国北部の独立を求める内戦が勃発し、旧イギリス領ソマリランド地域がソマリランド共和国として再び独立を宣言しました。現在、国際的な承認は得られていませんが、ソマリアとは事実上別個の国家として機能しています。

ソマリランド共和国は、旧イギリス領ソマリランド及びソマリランド国を継承する国家と位置づけています。その独立への道のりは、決して平坦ではありませんでしたが、独自の国家としての歩みを続けています。

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