ベルベラ

ベルベラ：ソマリアの主要港湾都市

ベルベラは、ソマリア北部のサヒル州に位置する港町であり、アデン湾に面した海上交通の要衝として知られています。人口は約20万人で、ソマリランドが実効支配しており、同地域の主要な貿易港としての役割を担っています。特に、内陸国であるエチオピアにとって重要な輸出港であり、ソマリランドの経済を支える重要な拠点となっています。

歴史

ベルベラの歴史は古く、1世紀のギリシャ商人の記録『エリュトゥラー海案内記』に「マラオ」として登場します。当時から商業都市として栄え、没薬、乳香、シナモンなどの交易が行われていました。

9世紀には、唐の学者、段成式が著した『酉陽雑俎』にも「撥拔力国」として紹介され、奴隷、象牙、龍涎香の貿易地として記述されています。16世紀には、ポルトガルがこの地の支配を試みましたが、オスマン帝国が一時的に占拠し、ゼイラが行政中心地となりました。

17世紀までベルベラは交易所として繁栄し、ソマリ族やインドの商人が集まり、アフリカ東海岸における重要な商業都市の一つとなりました。イギリスの探検家リチャード・フランシス・バートンもこの地の重要性を認識し、紅海沿岸における交易拠点としての可能性を指摘しています。

1875年にはエジプトがベルベラを再占拠しましたが、マフディー戦争の影響で撤退。その後、イギリスが駐留し、イギリス領ソマリランドの主要港として機能しました。1980年代には、アメリカが軍事施設利用を条件にソマリアへの経済・軍事援助を行っています。

1991年のソマリア内戦では、ベルベラで氏族間の対立が発生し、それがソマリランド建国のきっかけの一つとなりました。

地理

ベルベラの気候は乾燥しており、年間を通して高温です。郊外は砂漠または半砂漠地帯であり、夏季には気温が50℃に達することもあります。そのため、多くの住民は夏季を避けて内陸部に移動します。

交通

ベルベラは、ハルゲイサやブラオといった主要都市と道路で結ばれており、空港も有しています。主要な輸出品はヒツジ、アラビアガム、乳香、没薬などで、対岸のイエメン・アデンとの交易が盛んです。ソ連時代に建設された軍港は、後にアメリカ軍も使用しましたが、現在は商業港として利用されています。

1993年のエリトリア独立以降、ベルベラはエチオピアの貿易港として発展し、ソマリランドの主要な外貨収入源となっています。また、ベルベラ空港はアフリカ最長の滑走路を有し、かつてはNASAのスペースシャトル緊急着陸空港にも指定されていました。

港湾

ベルベラ港はアデン湾南岸で唯一の暴風避け設備を備えた港湾であり、その設備は年々拡大しています。ドバイに本社を置くDP World社が管理しており、大規模な投資が行われています。2021年にはコンテナ港拡張工事が完了し、貨物取扱能力が大幅に向上しました。これにより、ベルベラ港はジブチに代わるエチオピアをはじめとする内陸アフリカへの輸送拠点としての期待が高まっています。

史跡

ベルベラにはオスマン帝国時代に建てられた建築物が残っていますが、多くは遺跡となっており、立ち入ることは難しい状況です。これらの史跡は、バーレ大統領時代のソマリア軍による爆撃を免れ、現在もその姿をとどめています。

ベルベラは、その歴史的背景、地理的条件、そして港湾機能を通じて、ソマリアおよび周辺地域にとって重要な役割を果たし続けている都市です。

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