イシガイ目

イシガイ目（Unionoida）

イシガイ目は、淡水に生息する二枚貝の一つのグループであり、世界中に広く分布しています。このグループには約900種が含まれており、日本国内では約30種が確認されています。

特徴

イシガイ目の貝類の多くは、独特な生活環を持っています。母貝の中で受精・発生した後、グロキディウムと呼ばれる幼生になります。このグロキディウム幼生は、特定の魚の体表に寄生して成長します。魚の種類は貝の種類によって異なり、寄生期間を経て自由生活を送るようになります。

また、イシガイ目はタナゴ類やヒガイ類といった魚類の産卵母貝となることも知られています。これは、イシガイ目がこれらの魚類の繁殖において重要な役割を果たしていることを示しています。

しかし、近年、日本では水路の護岸化工事などによる生息環境の破壊や、タナゴ類の繁殖を目的とした乱獲などにより、イシガイ目の生息地と個体数が減少しています。その結果、多くの種が環境省や各自治体のレッドリストに記載されるという憂慮すべき状況となっています。

日本のイシガイ目の分類

日本に生息するイシガイ目は、以下の科と属、種に分類されます。

カワシンジュガイ科 Margaritiferdae Haas, 1940
カワシンジュガイ属 Margaritifera Schumacher, 1816
カワシンジュガイ Margaritifera laevis (Haas, 1910)
コガタカワシンジュガイ Margaritifera togakushiensis Kondo & Kobayashi, 2006
イシガイ科 Unionidae Rafinesque, 1820
フネドブガイ属 Anemina Haas, 1969
フネドブガイ Anemina arcaeformis
チシマドブガイ属 Beringiana Starobogatov in Zatrawkin, 1983
チシマドブガイ Beringiana beringiana (Middendorff, 1851)
ミナミタガイ Beringiana fukuharai Sano, Hattori & Kondo in Lopes-Lima et al., 2020
キタノタガイ Beringiana gosannensis Sano, Hattori & Kondo in Lopes-Lima et al., 2020
タガイ Beringiana japonica (Clessin, 1874)
タブネドブガイ属 Buldowskia Moskvicheva, 1973
カタドブガイ Buldowskia iwakawai (Suzuki, 1939)
ヒガシタネドブカイ Buldowskia kamiyai Sano, Hattori & Kondo in Lopes-Lima et al., 2020
ヤハズヌマガイ Buldowskia shadini (Moskbicheva, 1973)
カラスガイ属 Cristaria Schumacher, 1817
カラスガイ Cristaria plicata
メンカラスガイ Cristaria clessini
オバエボシガイ属 Invrsidens Haas, 1911
オバエボシガイ Invrsidens brandtii (Kobelt, 1879)
オトコタテボシガイ属 Inversiunio Habe, 1991
ヨコハマシジラガイ Inversiunio jokohamensis (Ihering, 1893)
オトコタテボシガイ Inversiunio reinianus (Kobelt, 1879)
ニセマツカサガイ Inversiunio yanagawensis (Kondo, 1982)
ササノハガイ属 Lanceolaria (Conrad, 1853)
キュウシュウササノハガイ Lanceolaria kihirai
ササノハガイ Lanceolaria oxyrhyncha (von Martens, 1861)
イシガイ属 Nodularia Conrad, 1853
イシガイ Nodularia douglasiae
タテボシガイ Nodularia nipponensis
カタハガイ属 Obovalis Simpson, 1900
カタハガイ Obovalis omiensis (Heimburg, 1884)
ドブガイモドキ属 Pletholophus Simpson, 1900
ドブガイモドキ Pletholophus reinianus (Martens, 1875)
マツカサガイ属 Pronodularia Starobogatov, 1970
マツカサガイ類 Pronodularia cf. japanensis
Sinanodonta Modell, 1945
マルドブガイ Sinanodonta calypygos (Kobelt, 1879)
ヌマガイ Sinanodonta lauta (Martens, 1877)
オグラヌマガイ Sinanodonta tumens (Haas, 1910)
Sinanodonta cf. woodiana
Sinohyriopsis Starobogatov, 1970
ヒレイケチョウガイ Sinohyriopsis cumingii
* イケチョウガイ Sinohyriopsis schlegelii

これらの種は、それぞれ独自の生息環境や形態、生態を持っており、日本の淡水生態系において重要な役割を果たしています。

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