イシミカワ

イシミカワ（Persicaria perfoliata）

特徴

イシミカワは、タデ科イヌタデ属に分類されるつる性の一年草です。和名には石見川、石実皮、石膠などの字が当てられていますが、どれが本来の語源かは明確ではありません。漢名は杠板帰（コウバンキ）と言います。

東アジアに広く分布しており、日本では北海道から沖縄まで、全国各地で見られます。日当たりの良い、やや湿った場所を好み、林縁、河原、道端、休耕田などに生育します。

茎は1～2mにまで伸びるつる状で、他の植物に絡みつきながら成長します。葉は互生し、葉柄が長く、葉の裏側につくのが特徴です。葉の形は三角形で、色は淡い緑色。表面は白い粉を吹いたように見えます。特に目を引くのは、丸い托葉が茎を完全に囲み、まるで皿の真ん中を茎が突き抜けたように見える独特な形状です。他の植物にも類似の托葉は見られますが、イシミカワのものは特に大きく目立ちます。また、茎と葉柄には下向きの鋭い棘（逆刺）が多数生えています。

花期は7～10月で、薄緑色の小さな花が穂状に咲きます。花後にできる果実は直径5mm程度で、熟すと鮮やかな藍色になります。この藍色に見える部分は、実際には萼が肥大し多肉化したものです。その中に、艶のある黒色の固い痩果（そうか）が含まれています。つまり、真の果実は痩果なのですが、散布される際には、肥大した萼に包まれた状態で、鳥などに食べられることで種子散布が行われます。この様子は、まるで漿果（液果）のようです。

利害

イシミカワは、中国では全草を乾燥させたものが、解熱、下痢止め、利尿などの効果がある生薬として利用されています。

しかし一方で、つる状の茎に生えた逆刺を使って他の植物に絡みつき、繁殖範囲を広げる雑草でもあります。特に、東アジアから移入され、近年分布を拡大している北アメリカでは、その旺盛な繁殖力から「Mile-a-minute weed（1分で1マイル草）」、あるいは葉の形状から「Devil's tail tearthumb（悪魔の尻尾の tearthumb）」などと呼ばれ、危険な外来植物として警戒されています。

参考文献

林弥栄監修、平野隆久写真　『野に咲く花』　山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、ISBN 4-635-07001-8。

外部リンク

イシミカワ - ウェイバックマシン（2006年9月3日アーカイブ分）（植物雑学事典）

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