イスタンブール地下鉄

イスタンブール地下鉄網：急成長を続ける巨大都市の足

イスタンブール地下鉄は、トルコ・イスタンブール市内を走る大規模な地下鉄ネットワークです。ヨーロッパ側とアジア側に分かれた路線が複雑に張り巡らされ、市民の生活を支える重要な交通機関となっています。

ネットワークの現状と将来計画

現在、M1～M9、M11号線までの10路線が営業運転されています。さらに、M10、M12、M14号線が建設中で、M13、M34号線も計画段階にあります。ヨーロッパ側にはM1、M2、M3、M6、M7、M9、M11号線が、アジア側にはM4、M5、M8、M10、M12、M14号線が走っています。特徴的なのは、ヨーロッパ側とアジア側を結ぶ地下鉄路線がない点です。両地域間の移動には、海底トンネルを通るマルマライ線を利用する必要があります。

2023年現在の総延長は約194.2kmに達しており、人口1000万人を超える大都市としては、遅れていた交通インフラ整備が近年急速に進められています。2012年から2023年にかけて8路線が開通し、さらに2025年までに3路線が開通予定と、建設ラッシュが続いています。完成すれば総延長は300kmを超える見込みです。

歴史：ライトレールから本格的な地下鉄へ

イスタンブール地下鉄の歴史は、1989年9月3日にM1号線（当時、ハフィフメトロと呼ばれていました）が開通したことに始まります。「ハフィフメトロ」とは、トルコ語で「軽い地下鉄」を意味し、路面電車に近い規格で地上区間が大部分を占めていたことから、地下鉄ではなくライトレールとして扱われることもありました。本格的な地下鉄としては、2000年9月16日に開通したM2号線が最初とされています。

1875年1月17日に開通したテュネルという地下ケーブルカーは、世界で2番目に古い地下鉄（ロンドンに次ぐ）とされることもありますが、イスタンブール地下鉄とは別個に扱われています。その後、2012年（M4号線）、2013年（M3号線）、2016年（M6号線）、2017年（M5号線）と順次路線が開通しました。2020年夏季オリンピック招致を目指して地下鉄建設が促進されましたが、招致は失敗に終わりました。しかし、エルドアン大統領を筆頭とする大規模な公共投資によって、建設は継続され、拡大を続けています。

各路線の特徴

M1号線: イスタンブール地下鉄の最初の路線。空港連絡鉄道として重要な役割を果たしていましたが、旧アタテュルク国際空港の閉鎖に伴い、その役割は変化しています。現在、ハルカル駅への延伸工事が行われています。M1A線、M1B線という支線と直通運転を行っています。

M2号線: イスタンブール初の本格的な地下鉄として、2000年に開通。タクスィム広場からイェニカプ駅までを結び、M1号線、マルマライ線、トラムと接続しています。

M3号線: 2020年夏季オリンピック開催予定地へのアクセス路線として整備されました。バシャクシェヒル＝メトロケントとキラズル間を結び、M1B号線と接続しています。

M4号線: アジア側最初の地下鉄路線で、2012年に開通。カドゥキョイからサビハ・ギョクチェン国際空港までを結びます。

M5号線: アジア側の路線で、トルコ初の全自動運転の地下鉄路線です。

M6号線: ライトレール・メトロ路線です。

M7号線: カバタシュ駅とマフムットベイ駅を結ぶ計画で、現在も延伸工事が続いています。

M8号線: 2023年1月6日に開通した路線です。

M9号線: 2021年5月29日に部分開通しています。

M11号線: イスタンブール空港と結ぶ路線で、2023年1月23日に開通しました。

その他の交通機関との連携

イスタンブール地下鉄は、マルマライ線、トラム、メトロバスなどの他の公共交通機関と連携して、市内の交通網を形成しています。また、地下を走るライトレールやケーブルカーも存在し、多様な交通手段が利用可能です。

まとめ

イスタンブール地下鉄は、巨大都市イスタンブールの発展を支える重要なインフラです。今後も路線網の拡大が続き、さらに便利で効率的な交通システムへと進化していくことが期待されます。

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