イスパーン賞

イスパーン賞 (Prix d'Ispahan)

イスパーン賞はフランス、パリのロンシャン競馬場で開催される重要な競馬の競走であり、特に4歳以上の競走馬が参加する1850メートルの芝コースで行われます。このレースは、国際的な評価を得ているグループ制の中でもG1に格付けされています。

歴史

レース名の由来

イスパーン賞は1873年7月13日に初開催されました。当初はロンシャン競馬場の公式開催期間外でしたが、その年にパリを訪問したイラン皇帝ナーセロッディーン・シャーを迎える特別なイベントとして行われました。この大会でメインとなったレースは3000メートルの平地競走であり、エスファハーンに由来して「Prix de Ispahan」と命名されました。この初回で勝利を収めたのは、当時のディアヌ賞の勝ち馬である3歳牝馬カンペシュ( Campêche)でした。

この日の開催は午前中の平地レースの後、昼休みを利用して障害競走も行われ、午後には「ファリスタン賞」というメインの障害競走も実施されました。

競走の変遷

イスパーン賞は1891年から2400メートルに距離を短縮し、その後も1903年には2100メートルに縮められながら行われました。第一次世界大戦の期間中、1915年から1918年にかけては競走が休止されました。戦後、1921年には1850メートルに固定され、以後この距離での開催が続いています。

1940年には第二次世界大戦が勃発し、競馬は一時中止となりましたが、1941年にはドイツ軍の許可を得て競走が再開。その間、1943年から1944年にはトランブレー競馬場で代替開催が行われました。

1960年代までは主に夏の時期に行われていましたが、1988年に大幅な条件変更があり、開催時期が春に、また出走条件が4歳以上に変更され、古馬のレースへと進化しました。

過去の主な勝ち馬

イスパーン賞は数々の名馬を輩出してきました。特に1889年の勝ち馬ルサンシーや、1923年のエピナール、1988年に輝いたミエスク、2003年のファルブラヴはその名を馳せています。これらの馬たちは、イスパーン賞の勝利をきっかけに国際的に名を馳せる存在となりました。1991年と2016年には、外国馬の存在も見られ、特に2016年の日本のエイシンヒカリは10馬身差で優勝する快挙を成し遂げ、21世紀のG1競走では歴代9位の巨大な差を記録しました。また、1999年にはエルコンドルパサーが2着に入り、国際的な競馬の舞台での日本馬の存在感も示しました。

条件の変遷

イスパーン賞の条件は、創設当初の1873年には3歳以上の馬が出走でき、開催時期は6月と7月でした。戦争の影響で何度か中止を余儀なくされましたが、1971年のグループ制導入によりG1に格付けされました。1988年には出走条件が4歳以上に変更され、さらに近年も新型コロナウイルスの影響を受けるなど、様々な変遷を経て現在に至っています。

イスパーン賞は、競馬界における歴史と伝統を尊重しつつ、国際的な交流の場でもあるこの歴史あるレースです。

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