イスラス・デ・ラ・バイア県

イスラス・デ・ラ・バイア県：カリブ海に浮かぶ楽園

イスラス・デ・ラ・バイア県は、ホンジュラス共和国を構成する18の県の一つです。ホンジュラス本土の北方約60km、カリブ海に点在する島々から成り立っています。主要な島としては、西からウティラ島、ロアタン島、グアナハ島が挙げられます。県都はロアタン島に位置するロアタンです。面積は261平方キロメートル、人口は約38,000人（2001年時点）となっています。

多様な文化が交差する島々

島民の多くは、かつて奴隷として連れてこられたアフリカ系住民の子孫と、カリブ海の先住民との混血であるガリフナ系の人々です。公用語はスペイン語ですが、かつてイギリスが長く領有していた歴史的背景から、英語を話す住民も少なくありません。イスラス・デ・ラ・バイア諸島は、「ベイ諸島（Bay Islands）」とも呼ばれ、その美しい自然と多様な文化で知られています。

主要な島々

ロアタン島（Roatán）: 県都が置かれ、観光の中心地。
グアナハ島（Guanaja）: 手つかずの自然が残る。
ウティラ島（Útila）: スキューバダイビングのメッカ。
カヨス・コチーノス諸島（Cayos Cochinos）: 手付かずの自然が残る。

イスラス・デ・ラ・バイア県の歴史

1502年、クリストファー・コロンブスによって「発見」される以前から、この島々にはペチ族（Pech）と呼ばれる先住民が居住しており、大型船を用いたホンジュラス本土やユカタンとの交易を行っていました。しかし、スペインによる植民地化が進むにつれ、先住民は奴隷として扱われ、人口は激減しました。

17世紀には、イギリスがロアタン島への植民を試みましたが、スペインとの間で激しい争奪戦が繰り広げられました。一時イギリスが拠点を築いたものの、スペインによって奪還されるなど、支配は安定しませんでした。

1821年の中央アメリカ独立後、イスラス・デ・ラ・バイア諸島はホンジュラスの領有となりました。しかし、イギリスはこれを認めず、1852年にはロアタン島をイギリス植民地として主張しました。アメリカ合衆国の介入もあり、1859年にイギリスは諸島をホンジュラスに返還。1861年に、イスラス・デ・ラ・バイア県が正式に設置されました。

カリブ海の観光拠点

近年、イスラス・デ・ラ・バイア県は、カリブ海有数の観光地として発展を遂げています。特にスキューバダイビングの名所として知られ、世界中から多くのダイバーが訪れます。アメリカ合衆国、カナダ、ヨーロッパからの観光客が多く、外国人経営のロッジも充実しており、英語も比較的通じやすい環境です。

注意点

観光客にとって注意すべき点として、「ヘヘン」と呼ばれる小さな虫の存在があります。日本の蚊よりも小さく、刺されるとかゆみが続くため、虫除けクリームが必須です。

まとめ

イスラス・デ・ラ・バイア県は、美しい自然、多様な文化、そして豊かな歴史が織りなす魅力的な場所です。カリブ海の楽園で、忘れられない体験をしてみませんか。

参考文献

桜井三枝子・中原篤史編集 『ホンジュラスを知るための60章』 エリアスタディーズ127 明石書店 2014年 ISBN 978-4-7503-3982-5

関連項目

サン・ペドロ・スーラ

外部リンク

ホンジュラス観光庁ウェブサイト
Islas de la Bahía - Programa Regional para el Manejo de Recursos Acuáticos y Alternativas Económicas

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