イスラム戦線 (シリア)

イスラム戦線（Islamic Front）

イスラム戦線は、シリア内戦における反体制勢力の一つであり、スンナ派のイスラム主義者による組織の連合体です。この連合体は、2013年11月22日に複数の組織が合併する形で設立され、シリアにおける反政府活動を行っています。サウジアラビアなどからの軍事的支援を受けており、主にシリア政府や過激派組織ISILと対立しています。また、自由シリア軍やタハリール・アル＝シャーム（HTS）との提携関係も持っています。

沿革

イスラム戦線の起源は、2012年9月に設立されたシリア・イスラム解放戦線にさかのぼります。この時点で、反体制派の一部組織が連携し、活動を開始しました。解放戦線には以下のような組織が参加しました:

• - イスラム旅団（後にイスラム軍と命名）
• - ダウヒード旅団
• - シャームの鷹旅団
• - ファールーク大隊

2013年12月、これらの組織がさらに統合され、イスラム戦線（IF）として知られる新たな連合が設立されました。この連合には、アルカイダ系のシャーム自由人イスラム運動や、クルド・イスラム戦線などが参加します。最高指導者には、シャームの鷹旅団の指導者であるアフメド・イサ・シェイクが就任しました。当初、IFは反体制派の中で最も強力な勢力と見なされていました。

国際的な観点から、日本の公安調査庁はIFをテロ組織として認定しています。2013年12月には、トルコ国境付近で自由シリア軍の幹部が拘束される事件も発生しました。この際、自由シリア軍の指導者サリム・イドリスがトルコ経由でカタールへ逃亡した件も注目されましたが、その後自由シリア軍はIFと協力し、ISILと対抗する方針を維持しました。

2014年に入り、IFとISILとの対立が深まり、両者の間での激しい戦闘が始まりました。特に2014年9月には、IFの幹部が爆殺される事件が起き、この後、IFはISILとの対立により、力を失っていくこととなります。

2015年2月には、穏健な反体制派の「ハズム運動」や他のグループと共に、反体制派の連合である「シャーム戦線」にも参加しました。

目的

イスラム戦線の主要な目的は、シャリーアに基づくイスラム国家の樹立です。しかし、民主主義や世俗主義を拒絶しながらも、民族的・宗教的少数派の存在を認める姿勢を持っています。彼らは、宗教に基づく評議会（Majlis-ash-Shura）による統治を目指しており、シリア全土の支配を強く意識しています。

サポートと供給

ドイツの諜報機関の報告によると、イスラム戦線はトルコから武器供与を受けているとされています。これにより、戦闘能力の向上が図られ、シリア内戦におけるその役割が強化されていると考えられています。

多様なバックグラウンドを持つ組織が結集しているイスラム戦線は、シリア内戦において重要な力の一つです。国際社会におけるテロリズムとの関連を深く考えさせられる存在でもあり、今後の展開が注目されます。

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