イスラームとネコ

ネコとイスラム教

イスラム教の中で、ネコは特別な地位を占めており、清潔さや預言者ムハンマドとの関わりから、真のペットとして愛されています。この文化的背景は、古代オリエントの時代から始まり、イスラム教によって引き継がれたものです。ネコには「七つの魂を持つ」という信念があり、アラビア語には多くの愛称が存在します。コーランにはネコの記述はないものの、ムハンマドやその仲間のアブー・フライラの伝説が、ネコを大切にする習慣を根付かせました。

敬愛の起源

伝承によれば、預言者ムハンマドは「ネコを愛することは信仰の一部である」と語り、ネコを迫害したり殺したりすることを禁じていました。彼は自身の外套の上でネコが子を産むことを許可し、愛する雌のネコ・ムエザが礼拝中に服の上で寝ていた際には、服の袖を切り落としてネコを起こさなかったというエピソードが伝わっています。

アブー・フライラという名のサハーバは、「子猫の父」と呼ばれ、特にネコに対する愛情が深かったことで知られています。彼はかつての羊飼いだった際、子猫を連れて行くことが多く、そのためにあだ名が付けられたとされています。さらに、彼はムハンマドが「雌猫を水を与えず餓死させた女性が地獄に落ちる」と宣言したというエピソードも語っています。

豊かな歴史

歴史上、ネコはイスラム文化の中で高く評価され、例としてブワイフ朝の君主ルクヌッダウラは執務室にネコを連れ込ませた逸話が残っています。また、ダマスカスには寄付によって設立されたネコの病院や年老いたネコの養老院が存在しました。ネコを殺すことは法律によって禁じられており、病気のネコや飼うことができないネコは捨てられることもありました。

一方、ヨーロッパの人々は、中世においてネコを食べたり殺したりする習慣を持っており、イスラム世界とは異なる態度を示していました。その反面、ネコは穀物庫や食料貯蔵庫を守る存在として重要視され、また、アラブ・イスラーム文化においても書物を守るためのネズミ捕獲者とされ、しばしば絵画にも描かれました。

衛生と健康管理

イスラムにおいて、ネコはその清潔さから特別な存在とされています。犬とは違い、ネコは宗教的に潔白な動物とされ、家庭やモスクにいても問題ありません。ネコが口にする食べ物はハラールとみなされ、彼らの飲水はウドゥに使われることも許されています。さらに、ムスリムの間では、ネコは礼拝を行う人を見つける能力があるとも信じられています。

トピックの一つとして、不妊手術に対する意見がウラマーの間で分かれますが、多くは特に有益であり、ネコの死を防ぐ場合には許容されるとしています。サウジアラビアのイマーム、ムハンマド・イブン・アリ・ウサイミンによれば、「迷惑をかけるほどの繁殖があれば、手術を施すべき」としており、その考えは今日まで受け継がれています。

このように、ネコはイスラム教徒にとって信仰の一部とされ、慈悲や衛生を象徴する存在として愛され続けているのです。

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