サハーバ

サハーバ（教友）とは

サハーバ（アラビア語: صحابة）は、イスラム教の預言者ムハンマドと直接接点を持ったイスラム教徒を指します。日本語では「教友」と訳されます。

概要

狭義には、ムハンマドと行動を共にし、イスラム教の基盤を確立した人物を指します。広義には、一度でもムハンマドに会ったことのある全てのイスラム教徒を指します。

サハーバから直接教えを受けた第二世代のイスラム教徒は、タービウーン（従う者）と呼ばれます。サハーバやタービウーンを通して記録されたムハンマドの教えが、ハディースとしてまとめられました。

スンナ派では、ムハンマドの正しい言行はサハーバが伝えたハディースの中に見出されると考えられています。そのため、学者たちはサハーバゆかりのマッカ（メッカ）やマディーナ（メディナ）などの地を訪れ、ハディースを収集しました。

サハーバの行動は、神、そして神の意思を直接受けたムハンマドによって是認されたものと解釈され、サハーバの伝記は後世で非常に重要視されました。ハディースを伝えたサハーバは、イスラム諸学において高い価値を持ち、ブハーリーの時代からサハーバの定義が試みられてきました。

サハーバの中でも、アブー・バクル、ウマル、ウスマーン、アリーの4人の正統カリフと、彼らを含む「楽園を約束された十人」は、特に傑出した人物とされています。

一方、シーア派にとって、アリーを除く3人の正統カリフと他のサハーバは、アリー一族の権利を侵害した憎むべき存在と見なされます。そのため、彼らはサハーバに対する呪詛を行うこともありました。これに対し、カリフやスンナ派を信奉する人々は、呪詛を行ったシーア派の人々を処罰したり、私刑を加えたりして対抗しました。

楽園を約束された10人

楽園を約束された10人（天国の吉報を受けた10人）とは、ムハンマドによって楽園へ行くことを告げられた教友のことで、以下の10人を指します。

1. アブー・バクル・アッ＝スィッディーク
2. ウマル・イブン・ハッターブ
3. ウスマーン・イブン・アッファーン
4. アリー・イブン・アビー・ターリブ
5. タルハ・イブン・ウバイドアッラー
6. ズバイル・イブン・アウワーム
7. アブドゥルラフマーン・イブン・アウフ
8. サアド・イブン・ワッカス
9. サイード・イブン・ザイド
10. アブー・ウバイダ・イブン・アル＝ジャッラーフ

参考文献

後藤明「サハーバ」『新イスラム事典』平凡社、2002年3月。ISBN 4-582-12633-2。
小杉泰『イスラーム文明と国家の形成』京都大学学術出版会〈諸文明の起源〉、2011年12月。ISBN 978-4-87698-854-9。
佐藤次高 編『イスラームの歴史』 1巻、山川出版社〈宗教の世界史〉、2010年6月。ISBN 978-4-634-43141-6。
清水和裕「教友」『岩波イスラーム辞典』岩波書店、2002年2月。ISBN 4-00-080201-1。

関連項目

* アラビア人ではないサハーバの一覧

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