イセビル

イセビルの概要と歴史

イセビルは神奈川県横浜市中区伊勢佐木町に位置する商業ビルで、一般に「イセビル」と呼ばれる第一イセビルが特に有名です。このビルはイセザキモールの入口に当たり、関内駅や馬車道方面から吉田橋を渡ることで、商店街のゲートの近くで目にすることができます。

歴史

このビルの創設は1923年に遡り、関東大震災による横浜の壊滅的な状態こそがその背景にあります。横浜市会議員の上保慶三郎は、復興の一環として耐火建築を進めるために、復興建築助成株式会社から助成を受けることとなります。慶三郎はこの制度適用の第1号となり、施工を東京・銀座の三ツ引商事に依頼しました。

彼の強い希望により、防災の観点から基礎には404本のアカマツの杭が打たれることになり、これは派大岡川の近くに立地するという特性からも影響を受けています。当初の予算を大幅に上回る工費がかかり、難工事を経て1926年に第一イセビルが完成しました。このビルは地下1階に地上5階構造で、その後6階が追加されました。

開業当初、地下には「イセビル和洋食堂」が設けられ、最上階の5階には「イセビル展望台食堂」がありました。さらに寿司屋や牛鍋屋など多彩な飲食店が入居し、「ハマの不夜城」として賑わいました。親しみやすい雰囲気の中で、多くの人々に愛され続けていましたが、戦局が変わると影響を受けることになります。特に第二次世界大戦中には、金属類回収令の影響でエレベーターが撤去され、横浜大空襲も耐えましたが、終戦後には進駐軍によって接収され、しばらくその管理下に置かれました。

接収期間中は、米軍向けの食料品店が営業され、比較的早い段階で接収が解除されました。1952年には地下に「パブサントリー」が開業し、その後はしばらく使われない状態が続くこととなりますが、最近の工事で過去の名残が見つかりました。例えば、昭和初期の「カフェー オリエント」に使われた壁絵や、1955年のダンスホール「白馬車」の壁絵などが発見されています。

屋上広告と現在の利用

イセビルの屋上には、商業ビルの特徴として長年広告看板が掲示されてきました。完成当初は「キリンビール」の看板があり、その後は各種ブランドの広告が設置されました。1980年からは「救心」という看板が掲出されていましたが、防災を考慮し、2013年に撤去されました。

第一イセビルの他に、第二イセビルと第三イセビルも存在し、これらは1950年代中盤に建設され、今も多くの人に親しまれています。今日の第一イセビルには、崎陽軒の売店やラーメン店、ジーンズショップなど、多様な店舗が入居し、地域の活気を保っています。4階には出版社やイベント企画会社が入っており、地域文化の発展にも寄与しています。

以上のように、イセビルは歴史的な背景を持ちながらも、現在でも人々に愛され続ける商業ビルとして存在しています。

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