イタリアン・インターナショナル・フィルム

イタリアン・インターナショナル・フィルム（I.I.F.）

イタリアン・インターナショナル・フィルム、通称I.I.F.は、1958年に映画プロデューサーであるフルヴィオ・ルチザーノ氏によって創業された、イタリア映画界において長い歴史を持つ企業の一つです。設立以来、一貫してルチザーノ氏の主導のもと運営が続けられており、映画の制作および配給を事業の核としています。その活動は国内市場を中心に展開され、これまでに500本を超える映画作品の誕生に貢献してきました。また、同社は時代の変化に対応し、映画という枠を超えてテレビ番組、ホームビデオ、さらにはインターネットを介したコンテンツ配信など、多角的なメディア事業へも進出しています。

沿革と主な実績

I.I.F.は、その創立から今日に至るまで、イタリア映画史において重要な役割を果たしてきました。特にコメディジャンルにおいて豊富な制作および配給実績を有しており、多くの観客に親しまれる作品を世に送り出しています。これまでには、ジョルジョ・カピターニ、ディーノ・リージ、サルヴァトーレ・サンペリ、パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレといったイタリアを代表する著名な映画監督たちとの共同で作品を制作しました。さらに、パオロ・ヴィラッジョ、フランコ&チッチオ、アルベルト・ソルディ、マッシモ・トロイージといった、イタリア喜劇映画を彩る個性豊かな俳優たちとの深い関係性を築き上げてきました。

企業の成長とともに、I.I.F.は国際的な視野を持つようになります。アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズとの連携を通じて、国際共同制作への参画を積極的に行いました。この取り組みから生まれた代表作には、『カストラート』（原題：Farinelli）があります。この作品は国際的に高い評価を受け、アカデミー外国語映画賞のノミネート作品に選ばれる栄誉に浴しました。また、『かぼちゃ大王』（原題：Il grande cocomero）も共同制作作品であり、イタリアからの出品作として各国に紹介されました。

1980年代以降も、I.I.F.はその活発な活動を維持します。フランコ・ゼフィレッリ、リリアーナ・カヴァーニ、ルイジ・コメンチーニ、リナ・ウェルトミューラーといった巨匠たちとの制作を続ける一方で、フランチェスカ・コメンチーニ、マウリツィオ・ニケッティ、フランチェスカ・アルキブージといった次世代を担う新進気鋭の監督たちとの関係も積極的に構築していきました。この期間においても、得意とするコメディ映画への注力は変わらず、2000年代には若者を中心に人気を博した『Notte prima degli esami』とその続編シリーズを成功させています。

配給事業の広がり

映画制作に加え、I.I.F.は配給事業においても確固たる地位を築いています。初期にはアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズとの協力関係のもと、マーティン・スコセッシやロジャー・コーマンといった著名な監督たちの作品をイタリア国内で紹介しました。後にMGM作品の配給も手掛けるようになり、リドリー・スコット監督の『テルマ&ルイーズ』、マイク・ニューウェル監督の『フォー・ウェディング』、バリー・レヴィンソン監督の『スリーパーズ』など、数多くの話題作やヒット作をイタリアの観客に届けました。2001年からはコロンビア ピクチャーズやディズニーといった大手スタジオと、さらに2004年からはRAIグループ傘下の01 Distributionとの協業を開始し、ホームビデオ事業なども含めた多様なコンテンツの配給網を拡大しています。

代表的な作品

制作作品例

Sexy magico（1963年）
Il cobra（1967年）
E continuavano a chiamarlo figlio di... （El Zorro justiciero, 1969年）
Il magnate（1973年）
Il fidanzamento（1975年）

配給作品例

Dio li crea... Io li ammazzo! （1968年）
トップ・ドッグ（Top Dog, 1995年）
オンリー・ゴッド（Only God Forgives, 2013年）

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