イタリック語派

イタリック語派の概要

イタリック語派は、インド・[[ヨーロッパ語族]]に属する言語群で、古代イタリア半島で紀元前1000年から紀元前500年頃にかけて使用されていました。ケントゥム語派に分類され、オスク・ウンブリア語群とラテン・ファリスク語群の2つの主要なグループに分けられます。イタリック語派を話す人々はイタリック人と呼ばれ、古イタリア文字を用いて記録を残していました。

最も有名なイタリック語派の言語はラテン語であり、共和制ローマの拡大とともにイタリア半島全土に広まりました。ラテン語の普及に伴い、他のイタリック語派の言語は次第に衰退し、最終的には消滅してしまいました。現在のイタリア語は、ラテン語から派生したロマンス諸語の一つです。

イタリック語派の系統と特徴

イタリック語派の言語は、いくつかの共通の特徴を共有しています。その中には、接続法未完了過去の接尾辞 -sē-、直説法未完了過去の接尾辞 -fā-（ラテン語では -bā-）、そして -ndo-（オスク・ウンブリア語群では -nn-）を用いた動形容詞の形成などが挙げられます。

しかし、オスク・ウンブリア語群とラテン・ファリスク語群を単一の系統としてまとめることについては、議論があります。これらの言語の類似性は、地理的な近接による言語接触の結果である可能性も指摘されています。また、ウェネティ語をイタリック語派に含めるべきかどうかも、議論の的となっています。

かつてはイタリック語派とケルト語派を結びつける「イタロ・ケルト語派」という説もありましたが、現在では否定的な見方が主流です。

イタリック語派の下位分類

イタリック語派は、大きく分けて以下の2つのグループに分類されます。

1. ラテン・ファリスク語群

このグループには、ラテン語とファリスク語が含まれます。ファリスク語の資料は少ないですが、ラテン語と多くの共通点を持つことから、近縁な言語であると考えられています。ラテン語は、その後のロマンス諸語の祖語となり、現在でも多くの言語に影響を与えています。

ファリスク語 (Faliscan): ラテン語と近縁の言語。資料は少ない。
ラテン語 (Latin): イタリック語派の中で最も広く知られている言語。ロマンス諸語の祖語。
ロマンス諸語 (Romance): ラテン語から派生した言語群（フランス語、スペイン語、イタリア語など）。

2. オスク・ウンブリア語群 (またはサベリア語群)

このグループは、共和制ローマの拡大によって衰退し、碑文などわずかな資料によってその存在が知られています。オスク語は、このグループの中で最も多くの資料が残されている言語です。

ウンブリア語 (Umbrian): イグウィウムの青銅板などから知られる言語。
オスク語 (Oscan): 約650の資料が残されている、このグループで最も多くの資料が残る言語。
* ウォルスク方言 (Volscian), エクウ方言 (Aequian), マルス方言 (Marsian), ウェスティニ方言 (Vestinian), パエリグニ方言 (Paelignian), マルキニ方言 (Marrucinian), Hernican, サビニ語 (Sabinian), 南ピケーネ語 (South Picene): これらの言語については、ごくわずかな資料しか残っていない。

まとめ

イタリック語派は、古代イタリア半島の文化と歴史を理解する上で重要な言語群です。ラテン語という世界史に大きな影響を与えた言語を生み出した一方、他の多くの言語は歴史の闇に埋もれてしまいました。残されたわずかな資料から、古代イタリアの多様な言語状況を垣間見ることができます。今後の研究により、イタリック語派に関するさらなる知見が得られることが期待されます。

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