イタロ・バルボ

イタロ・バルボ：ファシスト政権の要人、その生涯と謎の死

イタロ・バルボ（1896年6月6日 - 1940年6月28日）は、イタリアの軍人、探検家、政治家として、激動の20世紀前半を生きました。ファシスト党の有力者として、ムッソリーニ政権の中枢で活躍しましたが、その最後は謎に包まれています。

生い立ちと軍歴

バルボは、フェラーラ地方のクアルテザーナ村で生まれました。若い頃から民族主義運動に熱心で、14歳でアルバニア紛争に従軍。第一次世界大戦では山岳兵として勇猛果敢に戦い、数々の勲章を授与され、陸軍大尉にまで昇進しました。

政治家としての台頭

終戦後、バルボはフィレンツェで法学を学び、学位を取得。しかし、政治への関心は薄れることなく、ファシスト党の結党に参加し、フェラーラ支部の書記に就任しました。彼は私兵部隊を組織し、社会主義者との抗争を繰り広げ、その名を高めていきました。1922年のローマ進軍では、ムッソリーニ政権樹立に貢献し、党幹部「ラス」として、ファシスト四天王の一人に数えられました。

空軍の父

1926年、バルボは空軍大臣に任命されます。軍人としての経験はあっても、空軍に関する専門知識はほとんどありませんでしたが、そのリーダーシップと行動力で空軍を陸軍から独立させ、組織としての基盤を確立しました。彼は、長距離飛行部隊を率いて大西洋無着陸横断飛行を成功させ、世界的な名声を得ました。この偉業は、彼にハーモン・トロフィーをもたらし、アメリカでも英雄として迎えられました。

リビア総督時代

1933年、バルボは北アフリカ軍総司令官に転任し、リビア総督を兼任しました。アフリカにおけるイタリアの権益拡大に尽力する一方、人種主義的な政策には反対するなど、独自の姿勢を貫きました。しかし、ムッソリーニとの対立も深まり、その関係は次第に悪化していきます。

第二次世界大戦と謎の死

第二次世界大戦が勃発すると、バルボはナチズムを強く嫌悪し、連合国を支持する姿勢を示しました。しかし、ムッソリーニはドイツとの関係を重視し、バルボの意見は受け入れられませんでした。1940年6月28日、リビアのトブルクでバルボの乗る航空機が撃墜され、バルボは死亡しました。政府は事故と発表しましたが、暗殺説が根強く残っています。その背景には、ムッソリーニとの対立に加え、バルボがフランス軍司令官と会談し、ドイツとの同盟に反対する意思を表明したことが影響したとの見方もあります。

まとめ

イタロ・バルボは、ファシスト政権下で重要な役割を果たした人物でありながら、その最期は謎に包まれています。軍人、政治家、探検家、飛行家として多岐にわたる才能を発揮し、その行動力とリーダーシップは多くの人々を魅了しました。しかし、その一方で、ムッソリーニとの対立が深まり、悲劇的な死を迎えることになります。彼の生涯は、激動の20世紀前半におけるイタリアの政治と社会の複雑さを映し出す鏡と言えるでしょう。

参考文献

Michel Pratt, Italo Balbo, la traversée de l'Atlantique. 24 hydravions de l'Italie fasciste en Amérique. Éditions Histoire Québec, collection Fédération Histoire Québec, 2014.

外部リンク

Comando Supremo: Italo Balbo
* Italo Balbo and the Sioux

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