イチフジイサミ

イチフジイサミの競走馬人生

イチフジイサミは、日本の競走馬として1975年の天皇賞（春）で名を馳せたことで知られています。彼はオンリーフォアライフの代表産駒であり、主戦騎手は郷原洋行でした。その競走人生は、数々の波乱と成功の物語で構成されています。

競走生活の始まり

イチフジイサミは1972年にデビューしましたが、初戦では6着と苦戦しました。その後も10戦を重ねるも勝利は叶わず、3歳時は未勝利に終わりました。しかし、1973年にはようやく初勝利を飾ります。この年、彼はれんげ賞や菜の花賞といった特別競走で連勝し、クラシックレースへの道を拓くことができました。

クラシック初戦の皐月賞では、人気が低い中で4着に入賞。続いて、東京優駿（日本ダービー）に出走しましたが、騎手の郷原洋行が怪我で乗れず、津田昭が代わりに騎乗することになりました。ダービーでは薄い評価を覆して好走し、最後の直線でハイセイコーを交わし先頭に立つ場面も見せましたが、タケホープに寄せられた影響で残念ながら2着でゴールしました。競走生活でのダービー後には日本短波賞で初めての重賞制覇を達成し、その後のセントライト記念でも2着に入賞します。

クラシックシーズンとその後

1973年のクラシック最終戦となる菊花賞では、タケホープに騎乗した武邦彦に敗れ、イチフジイサミは3着。続く有馬記念では11着と大きく振るわず、打撃を受けることとなります。

1974年になると、イチフジイサミは重賞レースで善戦しつつも勝利には至らず、オールカマーで重賞タイトルを1つ獲得するのが精一杯でした。特に天皇賞・秋では斜行の影響で2着と、ビッグタイトルに手が届かず悔しい思いをする場面もありました。

1975年の快進撃

1975年、イチフジイサミは中山記念やダイヤモンドステークスを経て、春の天皇賞に挑戦します。このレースでは、過去の成績を覆す快挙を成し遂げ、前年度の二冠馬キタノカチドキを相手に1馬身4分の3差で優勝の栄冠を手にしました。この勝利は長年の悲願であり、彼の競走生活のハイライトとなりました。

その後、秋には有馬記念を目指していたものの、登録の不備により出走は叶わず、目黒記念での戦いが競走生活の最後のレースとなりました。

引退後の波乱

引退後のイチフジイサミは、期待された飼育生活とは裏腹に不遇の時代を迎えました。種牡馬としての販売を試みるも、契約先が代金を支払わずのトラブルが発生。さらに、その間に行方不明となるなど、波乱に満ちた日々が続きました。初年度の種付け頭数は15胎に留まり、その後は悪化し、最終的には機会がなくなりました。

その後、千代田牧場に引き取られ、種付けを再開しましたが、1989年には田原安田牧場に移動。しかし持病の喘息に苦しむことになり、23歳で安楽死の措置を受けることとなります。

まとめ

イチフジイサミの生涯は、競馬界の華やかな舞台で輝きを放ちながらも、引退後は様々な困難に直面した波乱の道のりでした。彼の存在は、競馬ファンにとって忘れられない記憶となっています。

もう一度検索