イヌハッカ

イヌハッカ（Catnip）

イヌハッカ（学名: Nepeta cataria）は、シソ科イヌハッカ属の多年草で、ハーブの一種です。ユーラシア大陸を原産とし、キャットニップという英名でも広く知られています。中国では荊芥（ケイガイ）、日本では古くから長野県筑摩地方で知られていたことからチクマハッカとも呼ばれます。日本各地に帰化しており、かつて薬草として用いられていたものが野生化したと考えられています。

特徴

イヌハッカは、高さ50cmから150cmに成長する草本です。茎と葉全体に白い綿毛があり、茎は四角形で多くの枝に分かれています。葉は対生で、三角形に近い卵形をしており、裏側には短毛が密生しています。若葉には、カルバクロールやネペトール由来の芳香があります。

花期は夏で、茎や枝の先に花が密生します。花冠は長さ約9mmの唇形で、上唇は直立して先端が浅く2つに分かれ、下唇は先端に7-8個の葉があります。花の色は白色または淡い青色で、紅紫色の斑点が見られます。雄しべは4つ、雌しべは1つあります。萼は先端が5つに分かれており、背面側の3つの裂片が長く、腹面側の2つの裂片がやや短いのが特徴です。果実は長さ1.5mmほどの楕円形で、褐色をしています。

利用

イヌハッカは古くから薬草として利用されてきました。肉料理の香り付けやサラダの材料として使われるほか、ハーブティーとしても楽しまれています。また、同じ属のネペタ・ムッシーニやネペタ・ラセモーサなどと共に、キャットミントと呼ばれることもあります。カラミントと呼ばれることもありますが、カラミンタ属のカラミントとは別の植物です。

猫が好むハーブ

イヌハッカの学名（cataria）や英名（Catnip）は、猫との関連を示唆しています。これは、イヌハッカの精油に含まれるネペタラクトンという成分が、猫を興奮させる効果があるためです。猫はイヌハッカに体を擦り付けたり、噛みついたりするため、栽培時には注意が必要です。この性質を利用して、イヌハッカの葉を詰めた猫用のおもちゃも販売されています。

イヌハッカと同様に、猫に影響を与える植物としてマタタビや荊芥が知られており、イヌハッカは「西洋マタタビ」と呼ばれることもあります。

脚注

参考文献

* 長田武正『原色日本帰化植物図鑑』保育社、1976年6月1日。ISBN 4-586-30053-1。

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