イヌハッカ属
イヌハッカ属（学名：Nepeta）は、シソ科に分類される植物のグループです。属名のNepetaは、古代都市国家エトルリアの町、ネペテ（現在のイタリア、ラツィオ州ネーピ）に由来しています。一般的に「キャットミント」という英名で知られています。
イヌハッカ属には約250種が存在し、そのほとんどが多年草ですが、一部には一年草も含まれます。これらの植物は、北半球の熱帯を除く、冷涼で湿潤な地域から高温で乾燥した地域まで、多様な環境に適応し、草地、岩場、高山などに自生しています。
葉は卵形から細長い披針形をしており、縁には円い鋸歯や歯状の切れ込みが見られます。また、一部の種には毛が生えています。花は穂状花序に似た集散花序を形成し、穂状に咲く種が多いですが、総状花序や円錐花序を形成する種もあります。花の色は白、紫、青、黄色など様々で、二枚の唇弁を持つ筒状の花が、花柄に沿って断続的に輪生します。耐寒性から半耐寒性の性質を持っています。
丈が高くなる種は、ボーダー花壇の背景として、低い種はロックガーデンなどで観賞用として利用されます。また、イヌハッカ（N. cataria）などいくつかの種は、ハーブとして薬用や料理に用いられています。
以下にイヌハッカ属の代表的な種をいくつか紹介します。
イヌハッカ (Nepeta cataria)
英名：キャットニップ。ハッカに似た香りがあり、猫が好むことで知られています。
ネペタ・ゴヴァニアーナ (Nepeta govaniana)
丈は90センチ程度。盛夏から初秋にかけて、総状または円錐花序に明るい黄色の花を咲かせます。原産地はヒマラヤ西部です。
ネペタ・グランディフローラ (Nepeta grandiflora)
初夏に青紫色の花を咲かせます。コーカサス原産で、コーカサス・キャットニップとも呼ばれます。
ネペータ・ネルヴォーサ (Nepeta nervosa)
盛夏から初秋にかけて、青紫またはまれに黄色の花を咲かせます。原産地はカシミールです。
ネペタ・ファイロクラミス (Nepeta phyllochlamys)
丈は10センチほどで、横に広がるように成長します。夏に藤ピンク色の花を咲かせます。原産地はトルコです。
ネペタ・ラセモーサ (Nepeta racemosa)
夏に濃いすみれ色から藤紫色の花を咲かせます。原産地はコーカサス、トルコ、イラン北西部です。
ネペタ・シビリカ (Nepeta sibirica)
丈は90センチ程度。盛夏から晩夏にかけ、4センチほどの青色から青紫色の花を咲かせます。原産地はシベリア、東アジアです。
ミソガワソウ（ネペタ・サブセッシリス）(Nepeta subsessilis)
丈は最大で90センチになり、盛夏から初秋に3センチほどの明るい青色の花を咲かせます。原産地は日本です。
ネペタ・ファーセニイ (Nepeta × faassenii)
ネペタ・ネペテラ (Nepeta nepetella) とネペタ・ラセモーサ (Nepeta racemosa) が、栽培地で自然交配して生まれた種です。初夏から初秋にかけて淡い青紫色の花を咲かせ、花に暗い紫色の点があります。花壇の縁取りとしても好まれます。園芸名ネペタ・ムジニー (Nepeta mussinii) としても知られています。
英国王立園芸協会『A-Z園芸植物百科事典』誠文堂新光社、2003年。ISBN 978-4416403006。
大槻真一郎、尾崎由紀子『ハーブ学名語源事典』東京堂出版、2009年。ISBN 978-4490107456。
* ハーブの一覧
概要
イヌハッカ属には約250種が存在し、そのほとんどが多年草ですが、一部には一年草も含まれます。これらの植物は、北半球の熱帯を除く、冷涼で湿潤な地域から高温で乾燥した地域まで、多様な環境に適応し、草地、岩場、高山などに自生しています。
葉は卵形から細長い披針形をしており、縁には円い鋸歯や歯状の切れ込みが見られます。また、一部の種には毛が生えています。花は穂状花序に似た集散花序を形成し、穂状に咲く種が多いですが、総状花序や円錐花序を形成する種もあります。花の色は白、紫、青、黄色など様々で、二枚の唇弁を持つ筒状の花が、花柄に沿って断続的に輪生します。耐寒性から半耐寒性の性質を持っています。
用途
丈が高くなる種は、ボーダー花壇の背景として、低い種はロックガーデンなどで観賞用として利用されます。また、イヌハッカ（N. cataria）などいくつかの種は、ハーブとして薬用や料理に用いられています。
主な種
以下にイヌハッカ属の代表的な種をいくつか紹介します。
イヌハッカ (Nepeta cataria)
英名：キャットニップ。ハッカに似た香りがあり、猫が好むことで知られています。
ネペタ・ゴヴァニアーナ (Nepeta govaniana)
丈は90センチ程度。盛夏から初秋にかけて、総状または円錐花序に明るい黄色の花を咲かせます。原産地はヒマラヤ西部です。
ネペタ・グランディフローラ (Nepeta grandiflora)
初夏に青紫色の花を咲かせます。コーカサス原産で、コーカサス・キャットニップとも呼ばれます。
ネペータ・ネルヴォーサ (Nepeta nervosa)
盛夏から初秋にかけて、青紫またはまれに黄色の花を咲かせます。原産地はカシミールです。
ネペタ・ファイロクラミス (Nepeta phyllochlamys)
丈は10センチほどで、横に広がるように成長します。夏に藤ピンク色の花を咲かせます。原産地はトルコです。
ネペタ・ラセモーサ (Nepeta racemosa)
夏に濃いすみれ色から藤紫色の花を咲かせます。原産地はコーカサス、トルコ、イラン北西部です。
ネペタ・シビリカ (Nepeta sibirica)
丈は90センチ程度。盛夏から晩夏にかけ、4センチほどの青色から青紫色の花を咲かせます。原産地はシベリア、東アジアです。
ミソガワソウ（ネペタ・サブセッシリス）(Nepeta subsessilis)
丈は最大で90センチになり、盛夏から初秋に3センチほどの明るい青色の花を咲かせます。原産地は日本です。
ネペタ・ファーセニイ (Nepeta × faassenii)
ネペタ・ネペテラ (Nepeta nepetella) とネペタ・ラセモーサ (Nepeta racemosa) が、栽培地で自然交配して生まれた種です。初夏から初秋にかけて淡い青紫色の花を咲かせ、花に暗い紫色の点があります。花壇の縁取りとしても好まれます。園芸名ネペタ・ムジニー (Nepeta mussinii) としても知られています。
参考資料
英国王立園芸協会『A-Z園芸植物百科事典』誠文堂新光社、2003年。ISBN 978-4416403006。
大槻真一郎、尾崎由紀子『ハーブ学名語源事典』東京堂出版、2009年。ISBN 978-4490107456。
関連項目
* ハーブの一覧
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