イヌホオズキ

イヌホオズキ（犬酸漿）

イヌホオズキ（Solanum nigrum）は、ナス科ナス属に分類される一年生の草本植物です。別名バカナスとも呼ばれ、日本を含む世界の温帯から熱帯にかけて広く分布しています。

特徴

形態: 草丈は30-60cm、最大で90cmに達します。茎は直立または斜めに立ち、よく分枝します。葉は広卵形で、縁には波状の鋸歯があります。花は白色で径6-7mm、ナスに似た形状をしています。果実は球形で、熟すと黒色になります。
生育地: 畑、道端、庭先、荒れ地など、日当たりの良い場所を好みます。人家の庭にも生えやすく、雑草として扱われることもあります。
分布: 日本全土をはじめ、世界の温帯から熱帯に広く分布しています。日本では史前帰化植物と考えられています。
毒性: 全草にソラニンを含み、有毒です。食用には適しません。

詳しい解説

イヌホオズキは、その名が示す通り、同じナス科のホオズキやナスに似た外見を持ちますが、食用には適しません。茎は角張っており、葉はやや厚めで、かさついた感触があります。花は夏に咲き、白い花冠が特徴的です。果実は未熟なうちは緑色で、熟すと黒色に変わります。この果実の中に多数の種子が含まれています。

イヌホオズキは、生命力が強く、様々な環境に適応して生育します。そのため、畑や庭など、人間の生活空間にも頻繁に現れます。しかし、その有毒性から、注意が必要です。

人間との関わり

イヌホオズキは有毒植物であるため、基本的には人間にとって有害な存在です。しかし、熱帯地域など一部の地域では、全草を煮て食用とする例もあります。ただし、これは例外的なケースであり、一般的には摂取を避けるべきです。

花言葉は「嘘つき」です。

各言語での呼び方

英語: black nightshade
タミル語: maṇittakkāḷi, maṇattakkāḷi
ヒンディー語: makoya
ベンガル語: kakmachi
インドネシア語: ranti
中国語: 龙葵
キクユ語: inagu (複数形: managu)

近縁種

ナス属には、イヌホオズキによく似た植物が多数存在します。これらの植物は互いによく似ており、区別が難しい場合があります。

オオイヌホオズキ (Solanum nigrescens)
アメリカイヌホオズキ (Solanum ptychanthum)
テリミノイヌホオズキ (Solanum americanum)
ケイヌホオズキ (Solanum sarrachoides*)

日本の在来種であるテリミノイヌホオズキは、イヌホオズキと似ていますが、葉がやや大きく、花や種子がやや小さいという特徴があります。また、花序の形状にもわずかな違いがあります。近年では、アメリカイヌホオズキなどの帰化種も増えています。

イヌホオズキを見かけた際は、むやみに触れたり、口にしたりしないように注意しましょう。

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