イバンドロン酸

イバンドロン酸：骨粗鬆症治療におけるビスフォスフォネート製剤

イバンドロン酸（一般名）は、ビスフォスフォネート系薬剤に分類される骨粗鬆症治療薬です。商品名として「ボンビバ」が知られており、静脈注射剤と経口服用錠剤の両方の剤形が存在します。2022年11月からは、大正製薬が日本でイバンドロン酸の製造販売を担っています。

イバンドロン酸の薬理作用

イバンドロン酸は、骨組織に高い親和性を示す特徴があります。薬剤は骨表面に吸着し、破骨細胞の働きを阻害、あるいは破骨細胞のアポトーシス（細胞死）を誘導することで、骨吸収を抑制する効果を発揮します。この作用機序により、骨密度を増加させ、骨粗鬆症による骨折リスクの低減に繋がります。

経口投与の場合、薬剤の約99%は糞便中に排泄され、体内に吸収されるのはわずか約1%です。一方で、静脈内投与では、投与された薬剤のほぼ100%が利用されます。そのため、静脈内投与は経口投与に比べて効果的に骨粗鬆症の治療を行うことができます。

イバンドロン酸以外にも、アレンドロン酸ナトリウム（月に1回投与）やゾレドロン酸水和物（年に1回投与）といったビスフォスフォネート製剤が静脈内投与薬として市販されています。これらの薬剤は、投与頻度の違いなど、それぞれ特性が異なっています。

イバンドロン酸の適応症

イバンドロン酸の主な適応症は骨粗鬆症です。特に、閉経後骨粗鬆症における骨量の減少や骨折リスクの抑制に効果が期待されています。

イバンドロン酸の禁忌

イバンドロン酸（ボンビバ）の注射剤と錠剤のいずれも、低カルシウム血症の患者さんには禁忌です。さらに、錠剤に関しては、食道狭窄やアカラシア（食道弛緩不能症）などの食道疾患を持つ患者さん、服用時に60分以上直立位または座位を維持できない患者さんにも禁忌とされています。錠剤服用時には、十分な量の水と一緒に服用し、上部消化管障害の予防に努めることが重要です。

イバンドロン酸の副作用

国内での臨床試験において、イバンドロン酸注射剤の副作用発生率は24.4%、錠剤は27.7%と報告されています。主な副作用としては、下痢、背部痛、頭痛、筋肉痛、関節痛、疲労感などが挙げられます。頻度は注射剤と錠剤で多少異なりますが、いずれも比較的軽度の副作用です。

しかし、重大な副作用として、上部消化管障害（食道穿孔、食道狭窄、食道潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道炎、食道びらんなど）、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、外耳道骨壊死、大腿骨転子下部および近位大腿骨骨幹部の非定型骨折、低カルシウム血症などが報告されています。これらの重大な副作用は、頻度は低いものの、注意深く観察する必要があります。

なお、閉経後骨粗鬆症に対するイバンドロン酸の静脈内投与は、総じて安全であるという報告もあります。

まとめ

イバンドロン酸は、骨粗鬆症治療において有効な薬剤ですが、服用にあたっては、医師の指示を厳守し、副作用の発現に注意することが重要です。特に、禁忌事項や重大な副作用については、事前に医師や薬剤師に相談し、十分な理解を得た上で服用を開始することが推奨されます。

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