イバン・バランチェク

ベラルーシ共和国出身のプロボクサー、イバン・バランチェク（Ivan Baranchyk）は、1993年1月24日にロシアのアムールスクで生を受けた。主にスーパーライト級のカテゴリーで戦い、そのキャリアの中でIBF世界スーパーライト級王座を獲得するなど、国際的な舞台でその名を知られた。

プロボクサーとしてキャリアをスタートさせたバランチェクは、アメリカ合衆国でも活動を展開した。2016年8月13日には、ホーデン・プロダクションズおよびディベイラ・エンターテイメントという有力なプロモーションとプロモート契約を交わし、米国での足場を固めた。同年9月23日、彼はオクラホマ州マイアミにおいて、王志敏とのUSBA（全米ボクシング協会）およびWBC全米スーパーライト級王座決定戦に臨んだ。この10ラウンド制の試合を戦い抜いた結果、バランチェクはジャッジ三者すべてが彼を支持する（99-91、100-90、100-90）判定勝ちを収め、二つの地域王座を同時に手にした。その後、USBA王者として2017年2月10日にオクラホマ州マイアミでアベル・ラモスと対戦。この試合も10ラウンドの判定に持ち込まれたが、99-91、97-92、97-93のスコアで三者判定勝ちを収め、USBA王座の初防衛に成功した。

地域王座を獲得し、実力を示したバランチェクは、次第に世界タイトル戦線に浮上していった。2018年3月9日、サウスダコタ州デッドウッドで行われたIBF世界スーパーライト級挑戦者決定戦で、経験豊富なピーター・ペトロフと対戦。この試合は、勝者がIBF世界王者ミゲル・アンヘル・ガルシアへの挑戦権を得る重要な機会であった。バランチェクは積極的な攻撃を見せ、第8ラウンドの1分12秒にペトロフからTKO勝利を奪い、念願の世界挑戦権を獲得した。同年7月20日、バランチェクはボクシング界の注目を集めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ（WBSS）のシーズン2スーパーライト級部門に第4シードとして選出された。彼のIBF世界スーパーライト級王座決定戦が、WBSSのオープニングラウンドとして組み込まれることになり、対戦相手はアンソニー・イギットに決定した。そして2018年10月27日、ルイジアナ州ニューオーリンズのレイクフロント・アリーナで行われたIBF世界スーパーライト級王座決定戦でアンソニー・イギットと対戦。激しい戦いの結果、第7ラウンド終了時にイギット陣営が棄権したため、バランチェクがTKO勝利を収め、IBF世界スーパーライト級王者となった。

世界王者としてWBSSトーナメントを勝ち進んだバランチェクだったが、準決勝で強力な相手であるジョシュ・テイラーと対戦することになった。2019年5月18日、スコットランドのグラスゴーで行われたこの試合は、バランチェクにとって初めての世界王座防衛戦でもあった。12ラウンドの熱戦の末、バランチェクはジャッジ三者すべてがテイラーを支持する（109-117、111-115、111-115）判定で敗れた。この結果、IBF世界王座の初防衛に失敗し、王座から陥落するとともに、WBSSからも姿を消した。王座陥落後も、バランチェクは世界のリングで戦い続けた。2019年10月5日には、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたガブリエル・ブラセロとのWBAインターコンチネンタルスーパーライト級王座決定戦に出場。この試合では第4ラウンド1分30秒にTKO勝利を収め、新たな地域タイトルを獲得した。しかし、その後の重要な試合では苦戦を強いられた。2020年10月3日、ラスベガスのMGMグランド内「ザ・バブル」で開催されたホセ・セペダとのWBC世界スーパーライト級シルバー王座決定戦では、第5ラウンド2分50秒にKO負けを喫し、タイトル獲得はならなかった。

イバン・バランチェクがキャリアで獲得した主なタイトルは以下の通りである。
ベラルーシウェルター級王座
WBC全米スーパーライト級王座
USBA全米スーパーライト級王座
IBF世界スーパーライト級王座（防衛回数0）
* WBAインターコンチネンタルスーパーライト級王座

イバン・バランチェクは、強打を武器にしたアグレッシブなスタイルで世界の舞台に立ち、IBF世界スーパーライト級王座獲得という実績を残した。WBSSなどのハイレベルな戦いにも参戦し、世界のトップクラスのボクサーたちと拳を交え、その勇敢な姿は多くのボクシングファンに記憶されている。

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