デッドウッド

デッドウッド：ゴールドラッシュと無法の街、そして再生

デッドウッドは、アメリカ合衆国サウスダコタ州西部のローレンス郡に位置する都市です。その名は、峡谷に点在する枯れ木に由来します。かつてはゴールドラッシュで沸き立ち、無法と繁栄が入り混じる街でしたが、現在はその歴史的な遺産と自然環境を活かした観光地として、新たな魅力を放っています。

歴史：ゴールドラッシュからギャンブル解禁へ

19世紀：ゴールドラッシュと無法の時代

1868年の第二次フォート・ララミー条約でインディアンの保留地とされたデッドウッドですが、1870年代には不法な入植が始まりました。1874年にジョージ・アームストロング・カスター中佐が率いる遠征隊がこの地で金を発見したことを発表したことで、ブラックヒルズ・ゴールドラッシュが引き起こされ、デッドウッドは急速に人口を増やしました。一攫千金を夢見る人々が集まり、街にはギャンブル場や売春宿が軒を連ね、無法地帯と化しました。

この時期のデッドウッドを象徴する人物として、ギャンブラーのワイルド・ビル・ヒコックや、売春宿の女主人マダム・ドーラ・デュフランなどがいます。しかし、無法な街では、殺人事件も頻発し、法の裁きが必ずしも公平に行われるとは限りませんでした。ヒコック殺害犯のジャック・マッコールは、二重処罰禁止の原則に反して二度も裁判にかけられました。これは、当時デッドウッドがインディアン居留地内の違法な街であったという特異な状況によるものでした。

1879年には、大火災によって街の大部分が焼失しましたが、デッドウッドは再び立ち上がり、金鉱の安定的な採掘により、繁栄を取り戻しました。

20世紀：衰退と再生の模索

20世紀に入ると、デッドウッドは徐々に衰退していきました。1959年には再び大火に見舞われ、街は壊滅寸前の状態となりました。1961年には、街全体がアメリカ合衆国国定歴史建造物地区に指定されましたが、その後も衰退は続き、財政も悪化しました。

1980年代には、売春宿が閉鎖され、街は深刻な経済危機に直面しました。しかし、この状況を打開するために、1989年、デッドウッドはギャンブルを合法化し、新たな収益源と街の活性化を目指す「デッドウッド実験」を開始しました。これにより、街は急速に復興を遂げ、観光客も増加しました。

チャイナタウン：多様な文化の交差点

ゴールドラッシュ時代には、中国系移民も多くデッドウッドにやってきました。彼らの多くはサービス業に従事し、メインストリートにはチャイナタウンが形成されました。このチャイナタウンは、多様な文化が交差する場所であり、アフリカ系やヨーロッパ系の住民もいました。現在では、州の支援のもと、このチャイナタウンの発掘調査が行われています。

地理と観光

デッドウッドは、ブラックヒルズの山中に位置し、周囲には豊かな自然が広がっています。ハイキングやマウンテンバイク、乗馬などのアクティビティが楽しめます。特に、ジョージ・S・ミケルソン・トレイルは、デッドウッドからブラックヒルズを横断する人気のコースです。

また、冬には近隣のスキー場でウィンタースポーツを楽しむことができます。デッドウッドには、映画監督のケビン・コスナーがオーナーを務めるカジノもあり、多くの観光客が訪れています。

気候

デッドウッドの気候は、サウスダコタ州の他の地域とは異なり、年間降水量が多く、雪も多いのが特徴です。春は短く、湿った猛吹雪や連日の雨に見舞われることもあります。

デッドウッドが登場する作品

デッドウッドは、その独特な歴史と魅力的な背景から、様々な作品に登場しています。

書籍：『きみならどうする?』「Deadwood City」
テレビドラマ：『新スタートレック』「A Fistful of Datas」、HBO制作の『デッドウッド 〜銃とSEXとワイルドタウン』

まとめ

デッドウッドは、ゴールドラッシュ時代の無法と繁栄、そしてその後の衰退と再生という、波乱に満ちた歴史を持つ街です。現在は、その歴史的建造物や豊かな自然、ギャンブルなどのエンターテイメントが楽しめる観光地として、多くの人々を魅了しています。

デッドウッドは、過去の栄光と現在の魅力を融合させながら、新たな歴史を刻み続けています。

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