イフリーキヤ

イフリーキーヤ（إفريقية ʾifrīqīyah）は、北アフリカの中西部を指す歴史的な地域名です。おおよそ現在のチュニジアからアルジェリアの東部あたりを指し、イフリキアと読むこともあります。

アラブ人による征服後に用いられるようになった名称ですが、イスラム時代の初期には、後にマグリブと呼ばれることになる地域、すなわちリビアより西の北アフリカ地域全体を指す広域の地名でした。この広大な地域を指す名称として、イフリーキーヤは歴史に登場します。

しかし、9世紀にアグラブ朝が現チュニジアのカイラワーンに興り、チュニジアを中心とする地域を支配するようになると、その領域に限定され、アグラブ朝領と同一の範囲を指す地域名に転化しました。この変化により、イフリーキーヤはより具体的な地域を指す名称となっていきます。

以来、チュニジアを中心とする王朝の支配領域をおおよそ指すようになり、その中心都市はカイラワーンのほか、アグラブ朝を滅ぼしたファーティマ朝が建設したマフディーヤがありました。これらの都市は、イフリーキーヤの歴史において重要な役割を果たしました。

のちにハフス朝がチュニスを都にすると、イフリーキーヤの王朝支配領域に対して「チュニスの国」という名称も用いられるようになりました。この名称は、イフリーキーヤがチュニスを中心とする地域として認識されていたことを示しています。

そして、ハフス朝をオスマン帝国が征服するとチュニス州となり、その名が西欧の言語に取り入れられてチュニジアという国名が定着しました。このように、イフリーキーヤという地名は、長い歴史を経て、現在のチュニジアという国名に繋がっているのです。

イフリーキーヤは、その領域と意味合いを時代とともに変化させながら、北アフリカの歴史において重要な役割を果たしました。その名は、現代のチュニジアという国名にその痕跡をとどめています。

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