イランアメリカ大使館人質事件

イランアメリカ大使館人質事件

概要

イランアメリカ大使館人質事件は、1979年11月4日にイラン・テヘランで起きた、イスラム革命防衛隊に率いられた暴徒によるアメリカ大使館の占拠および人質事件です。この事件は444日間続き、1981年1月20日に終息を見ました。

事件発生の背景

イランにおいて、1941年に即位したパフラヴィー朝のパフラヴィー皇帝は、アメリカや欧米からの支援を受け、開発独裁とともに親米化政策を進めました。特に1960年代には「白色革命」と称する改革を行い、農地改革や教育振興などを通じて社会の近代化を進めました。しかし、このような政策は宗教的保守派からの反発を招き、ホメイニーをはじめとする反体制派が力を増す要因となりました。

1970年代半ばのオイルショックによる経済不況と貧富の差の拡大は、国民のパフラヴィー体制への不満を高めました。これに対抗してホメイニーらの強力な反体制運動が起こり、最終的に1979年1月にはイラン革命が成功するに至ります。パフラヴィー皇帝は革命の混乱の中エジプトに亡命し、ホメイニーは帰国して新政権を樹立しました。

元皇帝のアメリカ入国

その後、パフラヴィー元皇帝はアメリカに「人道的な理由」で入国し、これに反発したイラン新政権は激怒しました。10月の元皇帝入国に伴い、テヘランでは反米デモが頻発し、その流れの中で多くのイスラム法学校の学生らが大使館を包囲する事態となりました。アメリカ側は事態を軽視し、大使館の防衛に十分な対策を講じることができず、結果として11月4日に学生と暴徒たちが大使館に侵入しました。

大使館占拠

侵入した学生たちは、アメリカ人外交官や海兵隊員ら52人を人質に取り、元皇帝の引き渡しを要求しました。この行為は国際的な法律に違反しており、他国からの非難を浴びましたが、占拠者たちはその声に耳を傾けず、大使館内に人質を拘束しました。

職員たちはイベントの初期に、機密書類の廃棄に成功しましたが、大使館周辺では情勢が急変し、職員の一部は脱出に成功したものの、多くは人質状態に置かれました。加えて、外部からの圧力を受け、占拠行為に対して中立的な国の外交官による接触も試みられるようになりました。

環境と人質の状況

人質たちは、スパイ容疑をかけられ、厳しい待遇を受けました。占拠当初から通信や行動の自由は奪われ、暴力を振るわれ、さらには身体を拘束されるケースもありました。緊急時には逃げ出そうとする者も現れ、自殺未遂やハンガーストライキが行われるなど、彼らの心理的な負担は非常に大きいものでした。

解放の兆しが見えたのは1980年の夏以降で、イラン政府も条件を見直す動きを見せるようになりました。イランの経済が厳しくなる中で、イラン・イラク戦争が開戦したことが、交渉にとって良い状況をもたらしました。

解決とその後

最終的にアメリカ政府とイラン政府は交渉を進め、カーター大統領から次期大統領となるレーガン政権への引き継ぎに伴い、1981年1月20日に人質たちは解放されました。

帰国した人質たちはアメリカ政府の支援によって病院で検査を受け、その後、国を挙げて歓迎されました。今回の事件はアメリカにおける外交政策にも影響を与え、その後の米国と中東諸国との関係に複雑な影響を及ぼしました。

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