イリジウム

イリジウムの概要

イリジウム（Ir）は、原子番号77の元素で、主に遷移元素群に分類される金属です。この金属は、プラチナと同様の光沢を持ち、耐久性や特殊な物性から多くの産業で利用されています。イリジウムという名称は、ギリシャ神話の虹の女神イリスに由来し、その化合物が多彩な色を示す特性から名付けられました。

イリジウムの埋蔵地と存在状況

イリジウムは地球の地殻に非常に少量存在し、平均濃度は0.001 ppm程度です。主に白[[金]]の精錬過程で副産物として採取されるため、プラチナの生産量に大きく依存しています。年間の採掘量はわずか4トンほどであり、これによりイリジウムは貴重なレアメタルとして位置づけられています。南アフリカ共和国が95%の生産シェアを持っており、同国のブッシュフェルト地域には特に豊富な埋蔵量があります。また、ロシアやカナダ、アメリカでも採掘されていますが、いずれも量は限られています。

地球内部と隕石には豊富

地球のマントル内部ではイリジウムの濃度が地殻よりも高く、また隕石にも高濃度で存在しています。そのため、いくつかの地層でイリジウムが発見されており、その一つがK-Pg境界層です。この層は白亜紀と古第三紀の境界に位置し、恐竜絶滅に関する重要な証拠の一つとされています。イリジウムが多く見られることから、隕石衝突や火山活動の影響を示すものとして研究されています。

物理的および化学的特性

イリジウムは常温常圧下で安定し、面心立方構造を持っています。非常に硬く、展延性に乏しいため、加工が難しい金属です。融点は2466 ℃、沸点は4428 ℃であり、これらの高い温度により、一般的な加工は粉末状にし、焼結して行われます。

化学的には、イリジウムは一般的な酸やアルカリとほぼ反応しませんが、高温では何らかの化学反応を起こします。特に、フッ素や酸素と反応する際に揮発性の酸化物を生成することがあります。これにより、特定の用途においてイリジウムは特別な性質を活かされています。

使用される分野

イリジウムの用途は多岐にわたりますが、加工が難しくその高価格から限られているのが現実です。高温に耐える性質を活かして、宇宙関連の技術や産業用炉の材料として使用されます。また、飛行機や自動車の点火プラグなど、高温にさらされる部品にも利用されています。

宝飾品の分野では、プラチナとの合[[金]]が多く使われています。指輪やネックレスなどにイリジウムが含まれることがあり、その美しさと耐久性から選ばれています。また、放射線源としても利用され、特に人工的に作られた放射性同位体であるイリジウム192が非破壊検査に用いられています。最終的に、イリジウムは非常に少ない同位体、191Irと193Irが自然界で見つかります。

総論

イリジウムはその希少性や特性から、工業用途から宝飾品まで幅広く利用されています。今後もその特性を活かした新しい技術や製品が期待されています。

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