イルピニア地震 (1980年)

1980年 イルピニア地震：南イタリアを襲った悲劇

1980年11月23日、イタリア南部イルピニア地方で発生した地震は、その地域社会に深い傷跡を残しました。地震の規模を示すモーメントマグニチュードは6.9、メルカリ震度階級では最大震度Xを記録し、広範囲にわたる破壊を引き起こしました。

地震の発生と特徴

地震が発生したのは、協定世界時で18時34分（現地時間19時34分）。本震の後には90回もの余震が発生し、住民を不安に陥れました。特筆すべきは、主要な断層破壊が80秒間に3回も発生し、それぞれの震源地が異なる点です。最大の断層破壊では、最大加速度0.38G（373ガル）を記録し、0.1G以上の揺れが10秒間も続きました。一連の断層破壊により、0.01G以上の揺れが合計70秒間も継続し、人々に長く激しい恐怖を与えました。

甚大な被害

地震の中心地となったコンツァ・デッラ・カンパーニアでは、2,483人以上が死亡し、7,700人以上が負傷、そして25万人もの人々が家を失いました。特にアヴェッリーノ県の各町村は壊滅的な被害を受けました。サンタンジェロ・デイ・ロンバルディでは、児童養護施設が倒壊し、27人の子供を含む300人もの命が失われ、町の80%が破壊されました。バルヴァーノでは、日曜礼拝中に教会が崩壊し、100人以上が犠牲となりました。震源地に近いリオーニやテオーラも壊滅的な被害を受け、ナポリでも10階建てのアパートを含む多くの建物が倒壊しました。被害は、ナポリやサレルノを含む26,000平方キロメートル以上の広範囲に及びました。

復興への道のり

イタリア政府は、復興のために59兆リラという巨額の資金を投入しました。また、西ドイツやアメリカ合衆国をはじめとする多くの国々から義援金が寄せられました。しかし、1990年代初頭には、復興資金を巡る大規模な汚職が発覚します。被災者支援や復興のために充てられるはずだった資金の一部が、マフィアの手に渡ったり、政治家への賄賂として使われたりするなど、不適切な流用が明らかになりました。復興に使われた400億ドルのうち、推定200億ドルが地域の新たな富裕層を生み出すために費やされ、64億ドルがカモッラ（マフィア）の手に渡り、40億ドルが政治家への賄賂として消えたとされています。実際に被災者のために使われたのは、全体の4分の1にあたる96億ドルに過ぎませんでした。地震後、マフィアが復興事業に介入し、復興の遅れや質の低下を招いたことも指摘されています。

震災から37年後の2017年の記事では、未だに道路などの修復作業が行われていることが報告されており、2023年の復興完了を目指しているとされていました。この地震は、自然災害の恐ろしさと同時に、復興の難しさ、そして汚職といった社会問題をも浮き彫りにしました。

関連情報

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イタリアの地震一覧
* 地震の年表

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