イレーネ・ドゥコック

イレーネ・ドゥコック：柔道界の女王、そしてセクハラ告発

イレーネ・ドゥコック（Irene De Kok、1965年8月29日生まれ）は、オランダ・アイントホーフェン出身の元柔道選手です。現役時代は72kg級で活躍し、その卓越した実力で数々のタイトルを獲得しました。

輝かしい戦績

ドゥコックは、1984年の世界選手権66kg級で準優勝を飾ると、1985年に72kg級に階級を上げます。すると、1986年の世界選手権では決勝でベルギーの強豪、イングリッド・ベルグマンスを破り、見事優勝を果たしました。さらに、無差別にも出場し、5位入賞を果たしています。1987年の世界選手権でも再びベルグマンスを破り、72kg級で2連覇を達成。しかし、無差別では前回同様5位に終わりました。1988年のソウルオリンピック(公開競技)には出場していません。

引退状態を経て1991年に復帰すると、1992年のバルセロナオリンピックでは準決勝で日本の田辺陽子に大内刈で有効を取られ敗北。銅メダルを獲得しました。1993年に現役を引退しています。

主な戦績は以下の通りです。

世界選手権 72kg級 優勝（1986年、1987年）
バルセロナオリンピック 銅メダル（1992年）
ヨーロッパ選手権 72kg級 優勝（1986年、1987年）
福岡国際 優勝多数

カフェバー経営とセクハラ告発

現役引退後の2009年、ドゥコックはティルブルフでカフェバーの経営を始めました。しかし、彼女の名を広く知らしめたのは、スポーツ界におけるセクハラ問題に対する勇気ある告発でした。

1996年、ドゥコックは現役時代のコーチであったペーター・オームスから、同性愛者であることを考慮されないまま長年にわたりセクハラを受けていたとして、アニタ・スタップスとモニク・ファンデリーと共に公に告発しました。

裁判の結果、ドゥコックとファンデリーに対するセクハラが認定され、オームスには4ヶ月の執行猶予処分と180時間の社会奉仕活動が言い渡されました。また、オランダ柔道連盟はオームスに対し、1996年から3年間にわたってコーチ資格を停止する処分を下しました。

ドゥコックの告発は、スポーツ界におけるセクハラ問題に大きな波紋を呼び、多くの人々に勇気を与えました。彼女の行動は、柔道家としての功績だけでなく、人権擁護の面でも高く評価されています。

まとめ

イレーネ・ドゥコックは、柔道選手として輝かしい実績を残す一方で、セクハラ問題の告発を通じて社会に貢献した人物です。彼女の勇気ある行動は、多くの人々に感銘を与え、スポーツ界におけるセクハラ根絶に向けた意識を高める上で大きな役割を果たしました。

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