インカ・ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガ

インカ・ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガ（1539年4月12日 - 1616年4月23日）は、スペインとインカの血を引くメスティソの歴史家、文筆家として知られています。彼はペルーで生まれ育ち、後にスペインへと移住しました。

生い立ちと背景

ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガの父は、スペイン人の征服者であるカピタン・ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガ（1507年 - 1559年）でした。一方、母はワイナ・カパックの息子であるワルパ・トゥパック・インカ・ユパンキ（アタワルパ死後の傀儡皇帝トゥパック・ワルパと同一人物）の娘、インカ王女チンプ・オクリョ（1523年 - 1571年）でした。彼は、ワイナ・カパックの曾孫であり、ワスカルやアタワルパ兄弟の大甥、そしてトゥパック・ワルパの孫にあたる人物でした。幼名はゴメス・スワレス・デ・フィゲローアといいました。

インカ皇統記

彼の代表作として知られるのが『インカ皇統記』です。この著作は、インカ帝国の歴史、文化、社会構造を詳細に記述したもので、ヨーロッパの人々にインカ帝国の姿を伝える上で重要な役割を果たしました。彼は、インカ帝国の視点とスペイン人の視点の両方から歴史を捉え、独自の解釈を加えています。

日本語訳

彼の著作は日本語にも翻訳されており、日本の読者もその内容に触れることができます。

『インカ皇統記』全2巻、牛島信明訳、岩波書店「大航海時代叢書 エクストラ・シリーズ」、1985-86年
『インカ皇統記』 岩波文庫 全4巻、2006年。表記はインカ・ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガ

インカ・ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガは、その出自と著作を通じて、インカ帝国の歴史と文化を後世に伝える架け橋となりました。

もう一度検索