インクルージョン (鉱物)

鉱物学におけるインクルージョンは、鉱物の形成過程でその内部に捕捉された物質を指します。包有物、抱有物、内包物とも呼ばれます。

鉱物学

インクルージョンは、多くの場合、他の鉱物や岩石ですが、水、気体、石油などの場合もあります。液体や揮発性のインクルージョンは、特に流体包有物と呼ばれます。琥珀の中に見られる昆虫や植物もインクルージョンの一例です。また、氷床コアに含まれる大気泡の分析は、気候変動の研究において重要な役割を果たしています。

捕獲岩は、溶岩流に取り込まれた岩石のことです。一方、メルト包有物は、マグマの液体部分であるメルト中で結晶が形成される際に、結晶内部に少量のメルトが閉じ込められてできたものです。

ハットンのインクルージョンの法則によれば、母岩に含まれる断片は、母岩自身よりも古いとされています。

宝石学

宝石学において、インクルージョンは宝石内部に封入された特徴的な物質、あるいは内部から表面に達している特徴のことを指します。宝石の評価において、インクルージョンは重要な要素の一つです。ダイヤモンドなどの多くの宝石では、インクルージョンは透明度を下げ、価値を下げる要因となります。しかし、スターサファイアのように、インクルージョンが宝石の価値を高める場合もあります。

多くの色石にはインクルージョンが含まれていることが想定されており、その存在が必ずしも石の価値を大きく下げるわけではありません。色石は、インクルージョンの有無や程度によって、以下の3つのタイプに分類されます。

タイプI: インクルージョンが全く、またはほとんど含まれない色石。アクアマリン、トパーズ、ジルコンなどが該当します。
タイプII: いくつかのインクルージョンを含むことが多い色石。サファイア、ルビー、スピネルなどが該当します。
タイプIII: ほぼ常にインクルージョンを含む色石。エメラルドやトルマリンなどが該当します。

金属工学

金属工学や金属加工においては、溶融金属（溶湯）が固化する際に、酸化物、炉材、介在物（ノロ）などが液体金属中に混入または形成され、それが金属内部に捕捉される現象を「ノロかみ」（slag inclusion）と呼びます。また、砂型を使用する際に砂が混入してしまうことは、「砂噛み」「砂入り」「砂喰い」（sand inclusion）などと呼ばれます。

関連項目

ダイヤモンドのインクルージョン

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