インターネットソサエティ

インターネットソサエティ（ISOC）とは

インターネットソサエティ（ISOC）は、1992年に設立された国際的な非営利組織です。インターネット関連の標準策定、教育、政策提言において主導的な役割を果たしています。その活動の根底には、「全世界のあらゆる人々の利益のために、インターネットのオープンな開発、進歩、利用を保証する」という理念があります。

ISOCは、ワシントンD.C.とスイスのジュネーブにオフィスを構え、130以上の団体と55,000人以上の個人会員で構成されています。会員は地域や関心事ごとに支部を設立しており、その数は世界中に90以上にも及びます。インターネット協会、インターネット学会とも呼ばれることもあります。

歴史

ISOCは、インターネットの成長を組織的に支援するために設立されました。ヴィントン・サーフ、ロバート・カーン、ライマン・チェーピンが発表した「Announcing the Internet Society」という文書に、設立の経緯と当初の綱領が示されています。

ISOCは、非営利組織として、以下の国際的な教育的、慈善的、科学的目的を掲げています。

研究・教育基盤としてのインターネットの技術的発展を促進し、学術、科学、工学コミュニティの関与を奨励する。
インターネットの技術、利用、応用について、学界や社会を教育する。
インターネット技術の科学的、教育的応用を促進し、教育機関、産業界、一般大衆への普及を推進する。
新しいインターネットの応用に関する議論の場を提供し、インターネットの運営と利用に関する組織間の連携を促進する。

設立当初、Internet Engineering Task Force (IETF) などのインターネット関連団体は、法的な組織としての基盤が脆弱でした。そのため、財政面や組織構造のサポートが必要とされていました。ISOCは、これらの団体を支援し、インターネットの発展を促進するために設立されました。

ISOCはIETFの上位組織であり、インターネット標準を定めるIETFの全てのRequest for Comments (RFC) 文書の著作権を有しています（ただし、配布は自由かつ無料）。一方、ISOCはIETFから派生した組織であり、企業としての構造が必要な活動をサポートするために誕生したとも言えます。IETFの事務局は以前CNRIが担当していましたが、その資金提供元であるアメリカ国立科学財団 (NSF) が1991年に資金提供を打ち切ったため、ISOCが設立されることになりました。CNRIはISOCの運営母体となりました。

2012年には設立20周年を迎え、「インターネットの発展と進歩に重要な貢献をした」人物を表彰する「インターネットの殿堂」を創設しました。

活動状況

ISOCは、標準化、社会政策、教育の3つの主要分野で活動しています。

標準化

標準化活動は、IETF、インターネットアーキテクチャ委員会 (IAB)、Internet Engineering Steering Group (IESG)、Internet Research Task Force (IRTF) を通して行われます。ISOCはこれらの標準化団体の活動をサポートし、オープンで透明性のある合意形成を促進しています。

ISOCは、.ORGトップレベルドメインを運用するPublic Interest Registryの親会社でもあります。また、毎年開催される国際会議(INET)の主催、出版物の発行、トレーニングセミナーの開催など、多岐にわたる活動を行っています。

社会政策

社会政策活動では、各国政府、各種組織、市民社会、民間企業などと協力し、インターネットの価値を高める政策の実現を推進しています。ISOCの基本姿勢は、「世界中の人々が生活の質を向上させるためにインターネットを活用している世界を想像している。そのためには、技術革新、創造性、商業的機会のためのオープンでアクセス可能な基盤を支える標準、技術、商慣習、政府の政策が必要である」という文言に表されています。

また、ISOCはインターネットガバナンスに関する議論の場を提供しており、世界情報社会サミット (WSIS) やインターネットガバナンスフォーラム (IGF) にも積極的に関与しています。

教育

教育分野では、インターネットに関する最新の情報を共有するための実地訓練、セミナー、会議などを提供しています。例えば、地域インターネット組織のサポート、インターネット技術に関する概要文書やホワイトペーパーの発行、発展途上国への専門家派遣などが挙げられます。

また、2012年にはWorld IPv6 Launchというイベントを企画・運営し、IPv6への移行促進の重要性を訴えました。このイベントには、Facebook、Google、Yahoo!、アカマイ・テクノロジーズ、主要なISPなど、多くの企業が賛同しました。

ISOCは理事会によって管理運営されています。

ISOC 日本支部

ISOCの日本支部は1994年8月に発足し、2009年ごろまで一般財団法人インターネット協会がその役割を担っていました。しかし、2009年に活動が停滞したため、2010年からは学術・産業界の有志によって再活性化に向けた活動が開始されました。2012年8月にはISOCから正式な支部として再認定を受け、IETF報告会などの活動を実施しています。

まとめ

インターネットソサエティは、インターネットの健全な発展と普及を促進するために、標準化、政策提言、教育活動など多岐にわたる分野で活動する重要な組織です。その活動は、インターネットが社会全体に貢献するための基盤となっています。

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