インターロイキン-6

インターロイキン-6 (IL-6)

インターロイキン-6（IL-6）は、T細胞やマクロファージなどの細胞によって産生されるサイトカインで、液性免疫の調節に深く関わっています。1986年に相補的DNA（cDNA）がクローニングされ、IL-6が多様な生理現象や炎症、免疫疾患の発症に関与していることが明らかになりました。

構造

IL-6遺伝子はヒトの7p21染色体上に位置し、4つのイントロンとエキソンを持ちます。ヒトのIL-6は212アミノ酸の前駆体ペプチドから構成され、最終的には184アミノ酸残基の成熟型に変化します。マウスと比較すると、ヒトとは遺伝子レベルで65%、タンパク質レベルで42%の相同性があります。特に、ヒトのIL-6配列中には2つの糖鎖修飾部位と4つのシステイン残基があります。

産生細胞

IL-6はさまざまな細胞から産生され、特にT細胞やB細胞、線維芽細胞、内皮細胞、マクロファージなどが挙げられます。特にマクロファージはリポポリサッカライド（LPS）の刺激を受けてIL-6を含む複数のサイトカインを分泌します。また、扁桃腺リンパ球や線維芽細胞では、プロテインキナーゼC依存的なシグナルによってIL-6の生成が促進されます。

ミオカイン

最近の研究によれば、骨格筋もIL-6を分泌することが確認されており、特に筋肉の収縮時に分泌されます。このIL-6は、筋肉内の脂肪の利用を助ける役割があり、オートクラインやパラクライン作用を通じて、他の臓器に効果を及ぼします。IL-6は、初めてミオカインとして同定されたサイトカインでもあり、そのシグナルは炎症反応において重要な役割を果たします。

受容体とシグナル伝達

IL-6は膜結合型受容体（IL-6R）と分泌型受容体（sIL-6R）と結合します。分泌型受容体は血清や尿に存在し、膜結合型と同様のIL-6親和性を示すものの、独自のシグナル伝達能は持ちません。IL-6受容体が活性化されることで、gp130と結合し、JAK-STAT経路やMAPキナーゼ経路を介し、細胞内にシグナルを伝えることができます。この際、IL-6によるシグナルは抑制的な分子であるSHP2やSOCSの誘導も伴います。

生理活性

IL-6は造血や炎症反応などにおいて重要な役割を担います。例えば、IL-6はケモカインや細胞接着分子の産生を促進し、B細胞から抗体産生細胞への分化を助けることで、免疫反応に寄与します。また、IL-6は活性化した樹状細胞から分泌され、制御性T細胞の活性を抑制するだけでなく、Th17細胞への分化を促進します。

医薬品への応用

IL-6の役割は医療分野でも重要視されており、特にリウマチなどの治療に用いられる抗IL-6受容体モノクローナル抗体が開発されています。トシリズマブはその一例で、IL-6とその受容体との結合を阻害し、既に日本でも承認されています。さらに、サリルマブという新たな抗体薬も登場し、効果の不十分なリウマチの治療に貢献しています。これにより、IL-6は今後の医療においても重要なターゲットとしての期待が高まっています。

関連項目としては、インターロイキンやインフリキシマブ、エタネルセプトが挙げられます。

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