インディアナ (戦艦)

サウスダコタ級戦艦「インディアナ」（USS Indiana, BB-58）

「インディアナ」は、アメリカ海軍が第二次世界大戦で使用したサウスダコタ級戦艦の2番艦であり、艦名はアメリカ合衆国のインディアナ州に由来します。この名前が使用された艦としては3代目にあたります。過去には、標的艦として沈没した前弩級戦艦や、未完成に終わったサウスダコタ級戦艦（資料によっては「インディアナ級戦艦」と呼称）が存在しました。

艦歴

サウスダコタ級戦艦の設計は1937年初頭に始まり、1937年末から1938年初頭にかけて最終決定が行われ、海軍上層部の承認を得ました。当初の計画では、「サウスダコタ」と「インディアナ」の2隻のみでしたが、世界情勢の緊迫化により「マサチューセッツ」と「アラバマ」が追加発注されることとなりました。

1938年6月30日、アメリカ、イギリス、フランスは、第2次ロンドン海軍条約の新協定に調印し、16インチ砲を搭載した45,000トン級戦艦の建造が可能になりました。しかし、アメリカはアイオワ級戦艦（45,000トン級）の建造を翌年度以降に見送り、1938年中に16インチ砲搭載の35,000トン級主力艦4隻を建造することを決定しました。この決定に基づき、本級4隻のうち、「インディアナ」を含む3隻が民間造船所に発注されました。

1939年11月20日、「インディアナ」はバージニア州ニューポート・ニューズのニューポート・ニューズ造船所で起工されました。1941年11月21日には、インディアナ州知事の娘であるマーガレット・S・ロビンズによって命名・進水しました。進水式には、シュリッカー知事とフランク・ノックス海軍長官が参列し、ノックス長官が演説を行いました。1942年4月30日、初代艦長アーロン・S・メリル大佐の指揮下で就役しました。

第二次世界大戦での活躍

メイン州カスコ湾での調整を終えた「インディアナ」は、パナマ運河を通過し太平洋艦隊に合流、ガダルカナル島の戦いに参加しました。1942年11月28日には、ハルゼー中将の空母機動部隊に加わりました。直前の第三次ソロモン海戦でアメリカ海軍は勝利しましたが、損害も大きく、姉妹艦「サウスダコタ」も損傷し修理のため後退していました。「インディアナ」の加入により、ウィリス・A・リー提督は、新鋭戦艦3隻（ノースカロライナ、ワシントン、インディアナ）を揃えることができました。

その後11ヶ月間、「インディアナ」は空母「エンタープライズ」、「サラトガ」の護衛やソロモン諸島侵攻の支援を行いました。1943年10月21日には真珠湾へ向かい、11月11日にはギルバート諸島侵攻部隊の支援のため出撃しました。タラワの戦いでは、海兵隊への航空支援を行う空母の護衛任務に従事しました。1944年1月後半には、2月1日のマーシャル諸島上陸作戦に先立ち、クェゼリン環礁への砲撃を8日間行いました。2月1日夜には、駆逐艦への燃料補給中に戦艦「ワシントン」と衝突し右舷を損傷しました。「インディアナ」は、マジュロ環礁で仮修理を受けた後、2月13日に真珠湾に到着し本格的な修理を受けました。

修理後、「インディアナ」は第58任務部隊に合流し、4月29日と30日のトラック島攻撃、5月1日のポナペ島砲撃に参加しました。6月にはマリアナ諸島攻略に参加し、6月13日と14日にはサイパン島へ砲撃を行い、15日には敵機数機を撃墜しました。6月19日と20日に行われたマリアナ沖海戦では、リー少将の指揮下に入り、敵機数機を撃墜しました。魚雷2発の至近弾を受け一時的に足止めされましたが、問題解決後、空母護衛任務を継続しました。マリアナ海域では64日間、支援砲撃を実施しました。

8月には、第38.3任務群の一部としてパラオ、続いてフィリピンへの砲撃を行いました。レイテ島侵攻支援として、9月12日から30日まで艦砲射撃を行いました。その後、ワシントン州ブレマートンに向かい10月23日に到着しました。

12月12日には真珠湾に到着し、訓練準備に入りました。1945年1月10日に出航、1月24日には戦艦巡洋艦部隊と共に硫黄島を占領するための作戦に従事し、砲撃を開始しました。その後、「インディアナ」はウルシー環礁で第58任務部隊に加わり、2月10日に硫黄島侵攻部隊へ配属されました。「インディアナ」は硫黄島への砲撃任務を中断し、2月17日と25日に東京へ空襲を行う空母部隊の護衛任務に従事しました（ジャンボリー作戦）。3月5日にウルシー泊地へ帰還し、沖縄進攻の準備として補給を受けました。

沖縄侵攻のため、3月14日にウルシー泊地を出航し、6月まで沖縄および日本本土に対する空母部隊の作戦に護衛艦として加わりました。この時期、日本軍は特攻機による激しい反撃を行いましたが、「インディアナ」は大きな被害を受けませんでした。6月前半に到来した巨大台風を乗り切り、6月13日にはフィリピンのサンペドロ湾へ向かいました。

第38.1任務群の一員として、「インディアナ」は7月1日から8月15日まで日本本土への空襲支援と沿岸目標に対する艦砲射撃を継続しました。7月14日には、姉妹艦などと共に岩手県釜石を砲撃し（釜石艦砲射撃）、7月29日、30日には静岡県浜松、8月9日には再び釜石を砲撃しました。

東京湾には9月5日に到着し、9日後にサンフランシスコに向けて出航、9月29日に到着しました。その後、1946年9月11日にブレマートンで予備役となり、1年後の1947年9月11日に退役、太平洋予備役艦隊に置かれました。1962年6月1日に除籍され、スクラップとして売却されました。

現在

「インディアナ」のマストと艦首は、ブルーミントンにあるインディアナ大学のメモリアルスタジアムで記念碑として保存されています。また、錨はフォートウェインに展示されています。その他、様々な遺物がインディアナ州各地の博物館や学校で展示されています。

「インディアナ」は、第二次世界大戦での戦功により9個の従軍星章を受章しました。

参考資料

ジョン・ジョーダン著、石橋孝夫訳『戦艦　AN ILLUSTRATED GUIDE TO BATTLESHIPS AND BATTLECRUISERS』株式会社ホビージャパン〈イラストレイテッド・ガイド6〉、1988年11月。
歴史群像編集部編『アメリカの戦艦　「テキサス」から「アイオワ」級まで四〇余年にわたる発達史』学習研究社〈歴史群像太平洋戦史シリーズ　Vol.58〉、2007年5月。ISBN 978-4-05-604692-2。
国立国会図書館デジタルコレクション
ヘクトル・バイウォーター著、海軍軍令部訳『太平洋海權論』水交社、1922年7月。

外部リンク

Maritimequest USS Indiana BB-58 Photo Gallery
US Naval Historical Center Photos - ウェイバックマシン（2000年12月8日アーカイブ分）
* USS Indiana BB-58 Home Port

この記事は、アメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。

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