ネットワーク外部性

ネットワーク外部性とは

ネットワーク外部性（ネットワーク効果）とは、製品やサービスの価値が、その利用者の数に依存して変化する現象を指します。これは、ある製品やサービスの利用者が増えるほど、その製品やサービス自体の価値も向上するという特徴を持ちます。

ネットワーク外部性のメカニズム

例えば、電話を例に考えてみましょう。

最初の加入者が一人しかいない場合、電話は誰とも通信できないため、その価値はほぼゼロです。
二人目の加入者が現れると、一人目の加入者は二人目の加入者と通信できるようになり、初めて電話に価値が生まれます。二人目の加入者も同様に、一人目の加入者と通信できるという価値を得ます。このように、加入者数が増えるにつれて、各加入者の便益も増加していきます。
三人目の加入者は、先の二人の加入者と通信できるようになるため、さらに価値が高まります。ただし、この時、三人目の加入が先行する二人にもたらす便益は、加入の意思決定には考慮されません。ここに外部性が存在します。

このように、ネットワーク外部性がある状況では、新規加入者の便益は既存加入者の数に左右されるため、初期段階ではなかなか普及しませんが、ある閾値を超えると急速に普及が進むという現象が起こります。

正のネットワーク外部性とバンドワゴン効果

ネットワーク外部性は、通常、利用者が増えるほど価値が高まる「正のネットワーク外部性」を指します。この効果は、ある製品やサービスが人気を集めると、その人気がさらに人気を呼ぶ「バンドワゴン効果」と密接に関わっています。SNSや動画共有サービスなどが良い例です。

負のネットワーク外部性

一方で、利用者が増えすぎると、かえって製品やサービスの価値が下がる「負のネットワーク外部性」も存在します。例えば、交通渋滞は、道路を利用する人が増えるほど、各利用者の移動時間が長くなり、利便性が低下する現象です。他にも、通信回線の輻輳などが負のネットワーク外部性の例として挙げられます。

ネットワーク外部性とロックイン

ネットワーク外部性は、一度普及が進むと、その製品やサービスが他のものに置き換えられにくくなる「ロックイン効果」をもたらすことがあります。これは、多くのユーザーが同じ製品やサービスを利用していると、他の選択肢に乗り換えるコストが高くなるためです。

マイクロソフト製品やQWERTYキーボードなどが、ロックイン効果の典型的な例です。