加瀬英明

加瀬英明の生涯と多岐にわたる活動

加瀬英明（1936年12月22日 - 2022年11月15日）は、日本の外交評論家であり、その活動は多岐にわたりました。彼は、助川明という別名も使用していました。自由社の社長、日本会議の監事兼東京会長、日本教育再生機構の代表委員など、数々の要職を歴任しました。

生い立ちと学歴

東京府出身の加瀬は、外交官である父・加瀬俊一と、元日本興業銀行総裁の小野英二郎の娘である母・寿満子の間に生まれました。また、芸術家のオノ・ヨーコは彼の従姉にあたります。慶應義塾大学経済学部を卒業後、イェール大学とコロンビア大学に留学し、国際的な視野を養いました。

ジャーナリスト、評論家としての活動

1967年から1970年まで、ブリタニカ国際大百科事典の初代編集長を務めました。外交官の父の影響もあり、青年時代から評論・執筆活動を開始しました。政治・経済界にも深く関わり、福田赳夫内閣や中曽根康弘内閣では首相特別顧問を、また、福田赳夫、大平正芳、鈴木善幸内閣では外相特別顧問を務めるなど、政府の中枢にも関わりました。

政治活動

1979年には、「スパイ防止法制定促進国民会議」の設立発起人に名を連ね、国防問題にも関与しました。1982年には、東京放送（現TBSラジオ）でラジオ番組『加瀬英明のハローワールド』のパーソナリティを務めました。1997年には、「新しい歴史教科書をつくる会」に賛同し、歴史教科書問題に積極的に関わるようになりました。その後、同会が分裂した際には、「日本教育再生機構」の代表委員となり、また、自由社の社長として、教科書発行にも関与しました。

その他の活動

加瀬は、「教育における体罰条項を考える会」の会長、日本・イスラエル親善協会の副会長、国家ビジョン研究会の会長、全日本きものコンサルタント協会の理事、日本躾の会の評議員など、多岐にわたる分野で活躍しました。また、「慰安婦の真実」国民運動の代表や、明治の日推進協議会の代表委員、史実を世界に発信する会の代表なども務めました。

2012年には、「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」を発足させ、安倍晋三の総理大臣就任を後押ししました。晩年には、ミュージカルの監修や、アパ日本再興大賞の審査委員長なども務めました。

死去

2022年11月15日、老衰のため東京都内の自宅で亡くなりました。85歳でした。

歴史観と主張

加瀬は、第二次世界大戦に関して、日本は責めを受ける立場にはないという独自の歴史観を持っていました。彼は、大東亜戦争を「アジア解放、有色人種解放の戦い」と評価し、日本の戦争行為を「偉業」と称えました。また、南京事件についても、その虚構性を主張しました。一方で、過去には日韓併合について「不幸な過去」と述べるなど、複雑な側面も持ち合わせていました。

昭和天皇への批判

月刊誌「自由」では、終戦時の昭和天皇の態度を厳しく批判し、指導者としての責任感の欠如を指摘しました。また、安倍晋三元首相の対応を昭和天皇の対応になぞらえて批判するなど、政治家としての姿勢についても厳しい見方を示しました。

ジョン・レノンとの対話

加瀬は、ジョン・レノンに対し、大東亜戦争は自衛的な戦争だったと主張した際、レノンがその主張に同意したと述べています。

著書と訳書

加瀬は、多数の著書を執筆しました。初期には『二十歳の眼 ある大学生の世界紀行』などの旅行記やエッセイ、また、外交や歴史に関する著作を発表しました。1970年代からは、国際情勢や歴史問題に関する著作を多数発表しました。その中には、『日本第二帝国論』、『天皇家の戦い』など、話題を呼んだ作品も含まれます。

また、多数の訳書も手がけており、『ユダヤ5000年の知恵』など、ユダヤに関する著作の翻訳にも力を注ぎました。加瀬の翻訳活動は、日本の読者に海外の知識や文化を紹介する上で大きな役割を果たしました。

その他の活動

加瀬は、ラジオ番組のパーソナリティを務めたり、ミュージカルの監修を担当するなど、メディアを通じた活動も行っていました。また、映画の監修や出演もしており、多方面でその才能を発揮しました。

まとめ

加瀬英明は、外交評論家、著述家として、日本の政治や歴史、文化に深く関わった人物でした。その多岐にわたる活動と独自の視点は、多くの人々に影響を与えました。彼の残した著作や活動は、今日においても様々な議論を呼んでおり、日本の言論界に大きな足跡を残したと言えるでしょう。

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