インド国立フィルム・アーカイヴ

インド国立フィルム・アーカイヴの概要

インド国立フィルム・アーカイヴ（NFAI）は、インドにおける映画文化の保存と普及を目的として設立された機関であり、その歴史は1964年にまで遡ります。若干の制約があった当初からの発展を経て、最終的には映像アーカイヴの重要な拠点としての役割を果たしました。NFAIの本部はマハーラーシュトラ州プネーに位置し、ムンバイ、バンガロール、コルカタ、ティルヴァナンタプラムといった主要都市に支部を展開しています。

設立の背景と目的

NFAIの設立以前、映画のフィルムの保管は映画局ならびに中央映画認証委員会が担っていましたが、1961年に独立した専門機関の設立が決まり、1964年に正式に設立されました。当初のNFAIは、予算や人材が限られるなど省内での認識が低く、映画業界でもアーカイヴの重要性が理解されていなかったため、フィルムや関連資料の収蔵は困難を伴いました。しかし、国際フィルム・アーカイヴ連盟への加盟後は、他国のアーカイヴ機関との連携を強化し、収蔵量の拡大を進めることができました。

フィルム収蔵と展示活動

NFAIは、インド国内に6つの重要センターを持ち、月に何度もフィルムのスクリーニングプログラムを開催しているほか、1万本以上のフィルムや書籍、脚本、写真を収蔵しています。また、1967年からは古典的な作品を月例で上映する取り組みを開始し、1968年には映画協会向けの上映会用ライブラリも立ち上げています。これらはすべて、教育機関との連携による映画人材育成に寄与しています。

古典作品のフィルム修復プロジェクト

2015年には「ナショナル・フィルム・ヘリテージ・ミッション」を立ち上げ、古典的な映画作品のフィルム修復とデジタルアーカイヴ化を行う計画が示されました。このプロジェクトでは、異なる言語の映画史家が参加し、修復対象の作品の抽出と推薦を行っています。予算は60億ルピーで、5年をかけて1000本以上の長編と短編映画の復元が見込まれています。

アーカイヴ基準と作品の選定

フィルムの収蔵に関しては、国立フィルム・アーカイヴ諮問委員会が策定した基準を基にしています。具体的には、1955年以前に製作された全インド映画、国家映画賞を受賞した作品、商業的成功を収めたものや、様々な映画祭で上映された作品が対象です。フィルムのジャンルも考慮し、神話や歴史、社会をテーマとした作品、さらにドキュメンタリーや短編映画も収蔵の対象となります。

統合と現在の状況

2020年12月には、NFAIの機能がインド国立映画開発公社に統合されることが決まり、2022年3月には正式にその活動が終了しました。しかし、NFAIが築いてきた映画文化の基盤と遺産はなお重要な役割を果たし続けるでしょう。NFAIのような機関は、映画文化を歴史として広める上で欠かせない組織であり、今後もその役割に期待が寄せられます。

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