インド映画テレビ研究所

インド映画テレビ研究所 (FTII)

インド映画テレビ研究所（Film and Television Institute of India、略称：FTII）は、インドにおける映画およびテレビ製作者を育成するための国立機関です。マハーラーシュトラ州プネーのかつてプラバート映画会社が存在した跡地に設けられています。国際的な教育機関の連合体である国際映画テレビ教育連盟にも名を連ねています。

歴史的背景

この研究所の設立は、1958年に情報・放送省が映画学校を開設するため、プネーのプラバート映画会社跡地を取得したことに始まります。そして1960年にFTIIが正式に設立され、翌1961年から教育活動を開始しました。当初は情報・放送省の傘下組織でしたが、1974年には独立した機関へと移行しました。これと同時に、ニューデリーにあったテレビ・トレーニング部門も統合されています。独立機関となった後も、FTIIはインド政府および情報・放送省から継続的な資金援助を受けて運営されています。2011年7月には、議会での承認を経て、FTIIが大学と同等の権利を持つ教育機関として位置づけられることが発表されました。

教育課程と特色

FTIIの教育プログラムは、フランスの高等映画学院やソビエト連邦の全ロシア映画大学のカリキュラムを参考に構成されています。提供される学科は多岐にわたります。

3年コース: 監督、撮影、編集、録音（各コース定員12名）
2年コース: 俳優、美術
1年半コース: CG・アニメーション
1年コース: 長編脚本、テレビ養成

これらの正規課程の他に、国営放送ドゥールダルシャンの職員向け短期研修や、一般市民向けの映画鑑賞講座なども開催されています。

3年コースの学生は、各自異なる学科から1名ずつ選ばれたメンバーで製作チームを結成し、卒業制作に取り組みます。これらの作品の中には、州政府や民間団体からの財政的支援を得るものや、インドの国家映画賞を受賞するもの、さらには国際映画祭に出品される実績を持つものも存在します。1960年代以降、教育の重点は芸術映画へとシフトしました。これにより、学生の間では商業映画の分野を避け、政府機関の映画製作部門などに就職することを志向する傾向が見られるようになりました。

組織体制

FTIIの最高責任者は所長であり、この役職にある人物は同時に理事長、学術評議会議長、常設財務委員長の役割も兼ねています。機関の運営方針を決定する最高意思決定機関は理事会であり、理事はFTIIの職員の中から選出されます。学術的な方針に関する助言を行う学術評議会と、財務状況について提言を行う常設財務委員会は、いずれも理事会によって任命され、それぞれの専門分野で理事会に対し重要な役割を担っています。

主な関係者

FTIIには、多くの著名な人物が所長を務めたり、教鞭をとったりしてきました。

歴代所長

ローシャン・タネージャ
アンワアル・ジャマル・キドワーイ (1974-1977)
S・M・H・バルネイ (1975-1977)
R・K・ラクマン (1977-1980)
シャーム・ベネガル (1981-1983, 1989-1992)
ムリナール・セーン (1984-1986)
アドゥール・ゴーパーラクリシュナン (1987-1989, 1992-1995)
マヘーシュ・バット (1995-1998)
ギリーシュ・カルナード (1999-2001)
ヴィノード・カンナー (2001-2005)
U・R・アーナンダムールティ (2005-2011)
サイード・アクタル・ミルザ (2011-2014)
ガジェンドラ・チャウハン (2015-2017)
アヌパム・カー (2017-2018)
B・P・シン (2018-2020)
シェーカル・カプール (2020-2023)
R・マーダヴァン (2023-)

主な教員

デヴィッド・リーン
イシュトヴァーン・ガール
マニ・カウル
リッティク・ゴトク
サタジット・レイ
* トム・アルター

これらの人々が、FTIIの教育レベルの高さとその評価に貢献しています。

もう一度検索