インノケンティー・アンネンスキー

インノケンティイ・フョードロヴィチ・アンネンスキー（1855年9月1日 - 1909年12月11日）は、ロシア象徴主義の第一世代を代表する詩人、文芸評論家、そして翻訳家として知られています。しばしば「呪われた詩人」のスラヴ版とも呼ばれる彼は、ボードレールやヴェルレーヌの作風をロシア語に取り入れようと試みましたが、その一方で、繊細な音楽性、不気味な暗示、難解な語彙、そして移ろいゆく色彩や香りの魔術といった独自の表現を確立しました。彼の作品は、象徴主義以降の世代の主要な詩人たち、例えばアンナ・アフマートヴァ、ニコライ・グミリョフ、オシップ・マンデリシュタームらに多大な影響を与えたことで知られています。

生涯

アンネンスキーは、オムスクの官僚の家庭に生まれ、幼少期にサンクトペテルブルクに移り住みました。両親を早くに亡くしたため、ナロードニキ運動の指導者であった兄ニコライの家で育てられました。1879年にサンクトペテルブルク大学哲学科を卒業後、歴史比較言語学の研究に没頭。ツァールスコエ・セローのギムナジウムで教師として古典語や古典文学を教え、1886年から亡くなる1909年まで校長を務めました。教え子の一人であるアンナ・アフマートヴァは、アンネンスキーを「唯一の恩人」と呼び、ニコライ・グミリョフは彼を「皇帝の村（ツァールスコエ・セロー）の最後の白鳥」と称えました。

先人であるワシーリー・ジューコフスキーと同様に、アンネンスキーは自作の詩の出版には消極的で、エウリピデスやフランス象徴派の翻訳を通じて初めて世に知られるようになりました。1890年から亡くなるまで、古代ギリシア語からエウリピデスの全作品を翻訳。1900年代初頭には、古代ギリシア文学を模範とした一連の悲劇を創作しました。これらの作品には、『哲人メラニッパ』（1901年）、『皇帝イクシオン』（1903年）、『レオダミア』（1906年～1907年）、『キタラ弾きのタミラ』（1913年）などがあり、そのうちのいくつかは、翻訳家仲間のファッデイ・ゼリンスキーに献呈されました（ゼリンスキーは後にアンネンスキーの追悼文を書いています）。

文芸評論家としては、評論集『内省の書』（第一巻は1906年、第二巻は1909年出版）で、ニコライ・ゴーゴリ、ミハイル・レールモントフ、イワン・ゴンチャロフ、そして特にドストエフスキーについて論じました。アンネンスキーの評論は、文章の芸術的な価値から「批判的な散文」とも呼ばれています。晩年には、セルゲイ・マコフスキーの雑誌『アポロン』の編集長を務め、作詩の理論に関する随筆を寄稿しました。ニコライ・グミリョフはこれらの理論的な著作を高く評価し、アンネンスキーを最初期のアクメイストと見なしました。

1909年12月、アンネンスキーは心筋梗塞のため、サンクトペテルブルクのツァールスコエ・セロー駅で倒れ、亡くなりました。彼の死は、家庭内の困難な事情とも関連があったとされています。彼の最良の詩作品の多くは、義理の娘への満たされない愛情に触発されたものだと言われています。

評価

文学史において、アンネンスキーは主に詩人として記憶されています。1870年代から詩作を行っていたにもかかわらず、彼は自身の作品を出版することを躊躇していました。兄ニコライの助言に従い、35歳まで作品を発表しなかったのです。処女詩集『静寂の歌』は、「ニクトー」（ロシア語で「誰もできない」という意味の言葉と同音）という偽名で発表されました。この詩集は、象徴派の指導者たちから一定の評価を受けましたが、彼らの多くは作者がアンネンスキーであることを疑っていませんでした。第二詩集である『糸杉材の箱』は、さらに高い評価を受けています。アンネンスキーは『糸杉材の箱』の出版を目前にして亡くなりました。未発表の作品の多くは、1920年代に、アンネンスキーの養子であり無名の詩人であったヴァレンティン・クリヴィチによって公にされました。

アンネンスキーの最高の詩作品は、複雑かつ難解です。彼の詩におけるイメージは、忘れかけている記憶の曖昧な連想を（記録するというよりもむしろ）暗示するために用いられています。アンネンスキーは、詩において最も重要なのは、とりとめのない連想を縫い合わせ、一つの短い詩へとまとめあげる糸だと述べました。アレクサンドル・ブロークは彼を「死体を愛する詩人」と評しましたが、アンネンスキーは死を唯一のテーマとしていたわけではありません。しかし、彼は多くの詩の中で不吉なものとして死を仄めかしていました。

その他

小惑星3724番は、ソ連の天文学者リュドミーラ・ジュラフリョーヴァによって1979年に発見され、「アンネンスキー」と命名されました。

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