インヴィンシブル投資法人

インヴィンシブル投資法人：ホテル投資に特化したJ-REITの歩み

インヴィンシブル投資法人は、日本における上場総合型不動産投資信託（J-REIT）であり、そのポートフォリオの多くをホテルが占める点が特徴です。同法人は2010年2月1日、住宅系REITであった東京グロースリート投資法人とエルシーピー投資法人の合併によって誕生しました。この合併は、リーマンショック後の世界的な信用収縮と、J-REIT市場における資金繰り悪化という厳しい状況下で行われた、歴史的な出来事でした。当時のJ-REIT市場では、ニューシティ・レジデンス投資法人の破綻など、深刻な事態も発生していました。インヴィンシブル投資法人の設立は、両REITの財務体質の改善と、リファイナンスリスクへの対応を目的とした戦略的合併であると見なされています。合併の結果、東京グロースリートの資産運用会社であるグロースリート・アドバイザーズは解散しました。

設立当初は、REITが高金利で借り入れを行い、質の悪い物件を押し付けられるのではないかという懸念がありました。しかし、2011年7月15日、フォートレス・インベストメント・グループをスポンサーに迎え入れることで状況は一変しました。フォートレス・インベストメント・グループは積極的にホテル物件を購入し、インヴィンシブル投資法人に提供する関係を築き、同法人は総合型REITからホテル投資を重視するREITへと変貌を遂げました。この戦略転換は市場から高い評価を受け、運用資産総額は2014年5月時点の725億円から2017年3月末時点の2,911億円へと、4倍以上に増加しました。

2017年12月27日には、ソフトバンクグループによるフォートレス・インベストメント・グループの買収が完了しました。これにより、インヴィンシブル投資法人の資産運用会社の株式の保有比率に変更が生じ、Calliopeが保有する株式の80％がフォートレス関係法人に、20％がソフトバンクグループ関係法人に譲渡されることとなりました。

2018年9月には、グランドケイマン島のホテル2物件の長期不動産賃借権を取得しましたが、2019年4月1日の租税特別措置法改正により、導管性要件を維持するため、2019年5月に直接保有する形態に変更されました。

2020年には、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、ホテル事業に大きな影響が出ました。3月以降、ホテルの売上高が大幅に減少したため、主要テナントであるマイステイズ・ホテル・マネジメント（MHM）に対し、固定賃料の免除や費用の負担などの支援を行いました。MHMもフォートレスグループの出資を受けていることから、この支援は利益相反の観点からも議論の的となりました。

インヴィンシブル投資法人の歴史を振り返ると、設立は2つのREITの合併、スポンサーの変更、そしてソフトバンクグループの参入と、常に変化と挑戦の歴史であったことがわかります。これらの出来事が、同法人を現在の規模と地位にまで成長させました。

沿革: 2002年の東京グロースリート投資法人の設立から、2010年のインヴィンシブル投資法人への商号変更、フォートレス・インベストメント・グループとの提携、そしてソフトバンクグループとの関わりなど、重要な出来事が数多くありました。また、エルシーピー投資法人との合併や、JCRによる長期発行体格付Aの取得なども重要なマイルストーンとして挙げられます。

ポートフォリオ: 2022年9月9日現在、インヴィンシブル投資法人は128件の物件を保有しており、取得価格合計は4,914億円に上ります。用途別内訳は、ホテルが91.7％（86物件）、住居が7.8％（41物件）、その他が0.5％（1物件）となっています。

主要物件: ウェスティン・グランドケイマン・セブンマイルビーチ・リゾート＆スパをはじめ、日本各地のホテルマイステイズ系列のホテルなど、多様な物件を保有しています。

エルシーピー投資法人: インヴィンシブル投資法人の前身の一つであるエルシーピー投資法人は、高齢者向け居住施設を中心とした住宅系REITでした。

コンソナント・インベストメント・マネジメント: インヴィンシブル投資法人の資産運用会社であり、フォートレス・インベストメント・グループの子会社です。

インヴィンシブル投資法人は、その歴史、戦略、そして保有物件を通じて、日本におけるJ-REIT市場における重要なプレイヤーとしての地位を確立しています。今後の動向にも注目が集まります。

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