イヴァリース

イヴァリースは、スクウェア（現スクウェア・エニックス）が制作したコンピュータゲーム『ファイナルファンタジータクティクス』をはじめとする複数の作品に登場する、架空の国家、地域、そして世界の総称です。この世界観は、ゲームクリエイターの松野泰己氏が中心となって構築されました。

概要

イヴァリースは、松野氏がスクウェアに移籍した際に、彼の得意とする戦記物の形式、すなわち架空の歴史と舞台設定から物語を紡ぐ手法で作り上げられました。各作品は、異なる時代と文明を舞台に展開するため、直接的な繋がりは薄いものの、共通する名称や断片的な情報をプレイヤーが補完することで、一つの大きな世界観として楽しむことができます。その名前は、「イギリス」に由来しています。

舞台設定

イヴァリースは、複数の亜人種が共存するファンタジー世界の一地域として描かれます。黄道十二星座をモチーフにした悪魔「ルカヴィ」など、独特の設定が存在する一方で、他のファイナルファンタジーシリーズからの名称も登場します（同名異物）。『ベイグラントストーリー』では、「イヴァリース」という単語は登場しないものの、舞台や用語に共通点が多く、アイテムの中には『FFT』のキャラクターに由来するものも見られます。しかし、松野氏自身の発言から、『ベイグラントストーリー』は本来イヴァリースの世界に含まれていなかったことが示唆されています。

また、『FFT』には『FFVII』のクラウド、『FFT獅子戦争』には『FFXII』のバルフレアといった、当時の最新ナンバリング作品の主要人物がゲストとして登場しています。

各作品におけるイヴァリース

ファイナルファンタジータクティクス (FFT)
北西に海を挟んでロマンダ王国、東にオルダリーア国と接するイヴァリース王国が舞台。人間以外の種族は登場せず、魔法は存在するものの、飛空艇などの高度な魔法文明は「大崩壊」によって失われています。中世ヨーロッパを思わせる世界観で、グレバドス教会による異端審問が行われています。
ファイナルファンタジータクティクスアドバンス (FFTA)
主人公たちが暮らすSt.イヴァリースと、異世界イヴァリースが舞台。St.イヴァリースは現代的な都市ですが、「グラン・グリモア」と呼ばれる魔導書によって異世界イヴァリースに変貌します。異世界イヴァリースは、モーグリ族、ヴィエラ族、バンガ族などの亜人種が存在し、魔法が使えます。
ファイナルファンタジーXII (FFXII) / ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング (FFXIIRW)
バレンディア大陸、オーダリア大陸、ケルオン大陸を含む地域が舞台。人間以外にも、モーグリ族、ヴィエラ族、バンガ族などの亜人種が存在し、魔石を用いた高度な文明が発展しています。
ファイナルファンタジータクティクスA2 (FFTA2)
『FFXIIRW』の数年後の世界が舞台。『FFT』に登場する機工都市ゴーグが登場し、オーダリア大陸西端・ロアル大陸東端の地域はユトランドと呼ばれています。ユトランドではロウが存在し、『FFXII』の地域との間で交流が行われています。
クリスタルガーディアンズ
ジョブキャラクターや地名に共通点が見られます。

イヴァリースの歴史

イヴァリースには、以下の様な歴史が存在します。

1. 神の時代
オキューリア族が地上を支配。
2. メレンカンプの時代
魔導師メレンカンプが呪文書「グリモア」、魔都「レアモンデ」を作成。
3. ガルテア連邦時代
レイスウォールがイヴァリースを統一し、ガルテア連邦を樹立。
4. ファイナルファンタジーXIIの時代
アルケイディア帝国がナブラディア王国に侵攻し、ダルマスカ王国が支配下に入る。
5. ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイングの時代
空賊となったヴァンが「グレバドスの秘宝」を求め空へ旅立つ。
6. ファイナルファンタジータクティクスA2の時代
『FFTA』の現代からルッソが迷い込む。成長したヴァンとパンネロが空賊として活躍。
7. 聖アジョラの時代
アジョラが新しい宗教を興す。
8. ファイナルファンタジータクティクスの時代
ゴルターナ公とラーグ公による「獅子戦争」が勃発。
9. アラズラムの時代
アラズラム・J・デュライが『FFT』の物語「ブレイブストーリー」を執筆。
10. ベイグラントストーリーの時代
シドニー・ロスタロットが公爵邸を占拠し法王の退陣を要求。
11. ファイナルファンタジータクティクスアドバンスの時代
魔導書「グラン・グリモア」により、St.イヴァリースが異世界イヴァリースに変貌。
12. ファイナルファンタジータクティクスA2の元の時代
ルッソが「グリモア」を開き、『FFXII』の時代に飛ばされる。

イヴァリースに存在する種族

ヒュム：一般的な人間に相当する種族。
モーグリ：愛らしい外見の種族。
バンガ：屈強な獣人のような種族。
ヴィエラ：兎のような耳を持つ種族。
ン・モゥ：魔法に長けた種族。
シーク：メカニックに長けた種族。
グリア：鳥のような翼を持つ種族。

用語

ゾディアックブレイブ：イヴァリース統一戦争時、ルカヴィを倒した12人の勇者。
ルカヴィ：イヴァリースにおける神話の悪魔。『FFT』では、契約した人間の肉体を媒体として現世に現れる。
召喚魔法：幻獣や異形者を呼び出す魔法。作品ごとに召喚される存在が異なる。
幻獣：精霊の最高階級であり、幻界の住人。
神獣：『FFTA』の異世界イヴァリースに住む種族を象徴する存在。
異形者：神が創り出したとされる異形の者たち。黄道十二宮に対応する光と闇の異形者が存在する。
ミスト：空気中に存在する魔法エネルギー。魔石に蓄積できる。
魔石：ミストを含む鉱石。ミストを放出させ効果を発揮する。
破魔石：ミストを吸収し、力を蓄える特殊な魔石。
グリモア：魔法が使えるようになる魔導書。複数の種類が存在する。
グラン・グリモア：世界を変える力を持つ魔導書。「究極の幻想」とも呼ばれる。
ジャッジ：作品ごとに異なる役割を持つ組織。『FFTA』では審判、『FFXII』では騎士団として登場。
クリスタル：『FFT』では死者の能力が結晶化したもの。『FFXII』ではセーブや転送に使用。
機工都市ゴーグ：全シリーズに登場する共通の都市。モーグリが住み、優れた機工技術を持つ。
3本のクロス：3つの線が交差するデザイン。聖印やグリモアの表紙に使用される。
イヴァリースアライアンス：イヴァリースを舞台とした作品群のブランド名。

イヴァリースに関連する作品

ファイナルファンタジータクティクス
ベイグラントストーリー
ファイナルファンタジータクティクスアドバンス
ファイナルファンタジーXII
ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング
ファイナルファンタジータクティクス獅子戦争
ファイナルファンタジータクティクス A2 封穴のグリモア
* クリスタルガーディアンズ

イヴァリースは、松野泰己氏が作り上げた魅力的な世界観で、多くのファンを魅了しています。各作品は独立しているものの、共通の要素が散りばめられており、プレイヤーはそれらを繋ぎ合わせることで、より深くイヴァリースの世界を楽しむことができます。

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