ウィリアム・アイリッシュ

コーネル・ウールリッチ：サスペンスの詩人

コーネル・ウールリッチ（1903年 - 1968年）は、アメリカ合衆国出身の推理作家であり、本名をコーネル・ジョージ・ホプリー＝ウールリッチと言います。彼は、ウィリアム・アイリッシュやジョージ・ホプリーという別名義でも作品を発表しました。日本では、特にアイリッシュ名義の『幻の女』が広く知られています。

生涯

ニューヨークで生まれたウールリッチは、幼少期に両親の離婚を経験し、父親と共にメキシコで過ごしました。その後、ニューヨークに戻りコロンビア大学でジャーナリズムを専攻しますが、小説家を志し中退します。

1926年に処女作「Cover Charge」を出版し、当初はF・スコット・フィッツジェラルドの影響を受けたジャズ・エイジ作家として活動しました。1931年には結婚しますが、3ヶ月で破局。その後は母親と共にホテルを転々とする生活を送り、孤独を深めていきました。

1934年からはパルプマガジン向けに推理小説の短編を執筆し、1940年代には長編小説も手掛けるようになり、サスペンス作家としての地位を確立しました。晩年は健康を害し、孤独の中で1968年に亡くなりました。

作風

ウールリッチの作品は、追われる者の不安や孤独、そして絶望的な状況における心理描写に優れています。その作風は「サスペンスの詩人」とも称され、哀愁漂う文体が特徴です。タイムリミットや、無実の罪に苦しむ主人公など、読者をハラハラさせるストーリー展開も彼の得意とするところです。

代表作である『幻の女』は、日本でも江戸川乱歩によって高く評価され、広く読まれるようになりました。また、『裏窓』はアルフレッド・ヒッチコック監督によって映画化され、世界的な名作として知られています。

吉原を舞台にした『ヨシワラ殺人事件』は、異国趣味的な描写が特徴的です。

また、「聖アンセルムホテル」を舞台にしたシリーズ作品群も存在します。

主な作品

普通小説
Cover Charge (1926)
Children of the Ritz (1927)
タイムズ・スクェア (1929)
推理小説（長編）
黒衣の花嫁 (1940)
黒いカーテン (1941)
幻の女 (1942)（ウィリアム・アイリッシュ名義）
黒い天使 (1943)
裏窓 (1942)

映画化作品

ウールリッチの作品は数多く映画化されており、以下はその一部です。

裏窓（アルフレッド・ヒッチコック監督）
黒衣の花嫁（フランソワ・トリュフォー監督）


コーネル・ウールリッチは、その独特な作風で、今もなお多くの読者を魅了し続けています。彼の作品は、サスペンス小説の古典として、これからも読み継がれていくことでしょう。

もう一度検索