黒いカーテン

『黒いカーテン』は、コーネル・ウールリッチが1941年に発表したミステリー・サスペンス小説です。ウールリッチは、別名であるウィリアム・アイリッシュ名義でも知られており、日本で翻訳出版される際にはアイリッシュ名義が用いられることが多いです。

あらすじ

主人公フランク・タウンゼントは、会社からの帰宅途中、落下してきた瓦礫によって意識を失います。意識を取り戻し帰宅したものの、そこには見送ったはずの妻の姿はありませんでした。管理人に尋ねると、妻はすでに引っ越したとのこと。新しい住所を訪ねると、そこには以前よりも老けた妻がおり、タウンゼントが3年前に失踪したと告げられます。

会社に復帰したタウンゼントですが、街中で拳銃を持った男に追われるようになります。記憶喪失のために3年間の出来事を全く思い出せないタウンゼントは、自分が何者だったのかを探るため、意識を失った場所へと向かいます。そこで、3年間の自分を知る女性と出会い、失われた期間に自分がニュー・ジェリコの町にいたこと、そして、恩人である富豪を殺害した罪で逃亡中だったことを知るのでした。

殺された富豪邸のお手伝いで、3年の間に愛人関係にあった女性と共に、タウンゼントは自分が本当に恩人を殺したのか、事件の真相を追い求めることになります。

書籍情報

原書は1941年に刊行されました。
日本語訳版は、宇野利泰訳、あかね書房〈世界大ロマン全集〉より1958年に出版。
宇野利泰訳、東京創元社〈創元推理文庫〉より1960年に出版(ISBN 978-4488120016)。世界大ロマン全集版の文庫化。
福島正実訳,原田維夫 (イラスト)、あかね書房〈少年少女世界推理文学全集〉より1963年に『恐怖の黒いカーテン・アリスが消えた』として出版(ISBN 978-4251080493)。ジュブナイル向けにリライトされており、タウンゼントの妻が妹に、お手伝いの女性が少年になっているなどの変更があります。ISBNは1982年の再版でのもの。
福島正実訳,横山まさみち（イラスト）、あかね書房〈推理・探偵傑作シリーズ〉より1973年に『恐怖の黒いカーテン』として出版(ISBN 978-4251081131)。少年少女世界推理文学全集版の新装版。

映画化

1942年には『STREET OF CHANCE』として映画化されました。モノクロ映画で、パラマウント映画が配給しました。

監督：ジャック・ハイヴリー
脚本：ギャレット・フォート
出演：バージェス・メレディス、クレア・トレヴァー、ルイーズ・プラット、シェルドン・レナード、フリーダ・イネスコート、ジェローム・コーワン、アーサー・ロフト

ラジオドラマ化

CBSのラジオドラマシリーズ『Suspense』の1編として、1943年2月2日にラジオドラマが放送されました。脚本はウィリアム・シュパイヤー、主演はケーリー・グラントが務めました。

テレビドラマ化

ヒッチコック劇場：NBCの『ヒッチコック劇場』シーズン1の9話として、「The Black Curtain」が1962年11月15日に放映されました。
キャスト：リチャード・ベイスハート、ローラ・オルブライト
監督：シドニー・ポラック
特選サスペンス：読売テレビで1979年9月6日に、『特選サスペンス』で『黒いカーテン』として放映されました。
キャスト：大谷直子、高橋悦史、真木洋子、清水章吾、加藤嘉、待田京介
監督：長谷和夫、脚本：宮川一郎
火曜サスペンス劇場：日本テレビ系列の『火曜サスペンス劇場』の1編として、「黒いカーテン 二重記憶喪失の男が必死で晴らす二つの汚名!!」が1982年12月28日に放映されました。原作者はウィリアム・アイリッシュとなっています。
キャスト：藤田まこと、白都真理、山口果林、香月美保子

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