ウィリアム・ウォラー

サー・ウィリアム・ウォラー：清教徒革命を駆け抜けた武将と政治家の生涯

サー・ウィリアム・ウォラー (Sir William Waller, 1597年頃 - 1668年9月19日) は、17世紀イングランドを揺るがした清教徒革命において、議会派を代表する軍人にして政治家でした。ケント出身の彼は、オックスフォード大学卒業後、ドイツに渡り三十年戦争に従軍。帰国後、1640年の長期議会で下院議員に選出され、政治の世界に足を踏み入れます。

イングランド内戦での活躍と栄光、そして挫折

1642年、イングランド内戦が勃発すると、ウォラーは議会軍騎兵指揮官として南部戦線に投入されます。ポーツマス、ウィンチェスターといった主要都市を次々と陥落させ、ドーセット、ハンプシャー、サセックスと南部を席巻。その戦功から「征服王 (William the Conqueror)」の異名まで得るほどでした。

1643年にはグロスタシャー大将に任命され、西部戦線にも進出。西部連合軍を指揮し、王党派の侵攻を幾度も撃退します。ウェールズ南部への侵攻にも成功し、勢力を拡大。しかし、ランズダウンの戦い、ラウンドウェイ・ダウンの戦いでの敗北は、彼の勢いに大きな影を落とします。ブリストルを放棄してロンドンに急行した彼の行動は、議会内で激しい論争を引き起こし、一時的に失脚する事態に陥ります。

その後、議会からの信頼を取り戻したウォラーは、チェリトンの戦いで勝利を収め、再び軍を率いてオックスフォード進撃を試みます。しかし、クロップレディ・ブリッジの戦いでの敗北、そして兵士たちの反抗的な態度に悩まされるなど、徐々に勢力を失っていきます。何度か再起を図るも、東部連合軍司令官マンチェスター伯との不和なども影響し、第二次ニューベリーの戦いで成果を挙げることができませんでした。

ニューモデル軍の創設と軍からの引退

マンチェスター伯の怠慢を議会で非難したウォラーは、オリバー・クロムウェルと共に、ニューモデル軍創設という大きな政治的変革に影響を与えました。しかし、皮肉にも彼は1645年の辞退条例によって軍から追放され、かつての輝きは完全に失われます。クロムウェルがニューモデル軍副司令官として台頭し、最終的に議会派の勝利に貢献していく一方、ウォラーは政治の世界に身を移すことになります。

政治活動と晩年

軍を退いた後も、ウォラーは政治活動を続けました。しかし、長老派に属した彼は独立派と対立、王党派との妥協を図ったとして投獄されるなど、波乱万丈な政治生活を送ります。王政復古後も、かつての功績は忘れ去られ、静かに余生を送り、1668年にこの世を去りました。

まとめ

サー・ウィリアム・ウォラーは、卓越した軍事指揮官でありながら、政治的駆け引きの荒波にも揉まれた複雑な人物でした。彼の生涯は、清教徒革命という激動の時代を象徴する物語として、今なお人々の関心を集めています。 彼の成功と挫折は、内戦期の複雑な政治情勢と、軍事的才能だけでは政治の世界を生き抜くことができないことを示しています。彼の経験は、歴史における個人の役割と時代の流れの複雑さを理解する上で貴重な教訓を与えてくれます。彼の功績と失敗は、イングランドの歴史に深く刻まれ、後世に語り継がれるべきものです。

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