ウィリアム・オルウィン

ウィリアム・オルウィン（William Alwyn）は、20世紀イギリスを代表する作曲家の一人です。1905年11月7日にノーサンプトンシャー州ノーサンプトンで生を受け、1985年9月11日にその生涯を閉じました。彼は単なる作曲家にとどまらず、指揮者、フルート奏者、音楽教育者としても顕著な業績を残しました。その才能は音楽の領域を超えて、言語学者、詩人、美術家としても知られるほどの多岐にわたるものでした。

オルウィンは幼い頃から音楽、特にピッコロの音色に強い関心を示しました。15歳で権威ある王立音楽アカデミーに入学し、そこでフルートと作曲を本格的に修めます。彼はフルートの名手として頭角を現し、一時期は名門ロンドン交響楽団の首席フルート奏者を務めた経験も持っています。アカデミーでの学びを終えた後も、彼は母校との関わりを保ち続け、1926年から1955年までの長きにわたり、作曲科の教授として多くの後進の指導にあたりました。

作曲家としての彼の音楽スタイルは、非常に多様性に富んでいます。5つの交響曲、2つのオペラ、様々な楽器のための協奏曲、そして弦楽四重奏曲といった幅広いジャンルにわたる作品を生み出しました。彼は伝統的な形式を踏まえつつも、自身の音楽語法を探求し、独自の十二音技法を考案したり、時には不協和音を積極的に作品に取り入れたりもしました。

彼のキャリアにおいて特に重要な位置を占めるのが、映画音楽の分野です。1941年から1962年までの間に、彼は実に70本を超える映画の音楽を手がけました。その中には、高く評価された作品が数多く含まれています。代表作としては、『邪魔者は殺せ』（1947年）、『落ちた偶像』（1948年）、スペクタクル史劇『真紅の盗賊』（1952年）、『黒い天幕』（1956年）、『SOSタイタニック/忘れえぬ夜|SOSタイタニック_忘れえぬ夜』（1958年）、冒険映画『南海漂流』（1960年）、そして戦記映画『砂漠の勝利』などが挙げられます。これらの作品を通じて、彼は映像作品に深みと感動を与える音楽を提供しました。

オルウィンは自身の作品に対する深い理解を持ち、しばしば自らの手でそれらを指揮しました。彼の指揮による交響曲などの録音は今日まで伝えられており、作曲家自身の意図を反映した演奏として貴重な資料となっています。

彼の私生活においては、作曲家であるメアリー・オルウィン（旧姓ドリーン・カーウィゼン）が伴侶でした。彼女は元々ウィリアムの教え子であり、後に夫婦となりました。ウィリアムの没後、メアリーは夫の遺した作品の広範な普及と、その音楽に関する学術的な研究の発展に情熱を注ぎ、彼の音楽遺産が正当に評価されるために多大な貢献をしました。

主な作品

ウィリアム・オルウィンは幅広いジャンルで多くの作品を発表しました。以下にその一部を示します。

交響曲

交響曲第1番
交響曲第2番
交響曲第3番
交響曲第4番
交響曲第5番「壷葬論」

協奏曲

ハープと弦楽のための協奏曲「リラ・アンジェリカ」
ピアノ協奏曲第1番
ピアノ協奏曲第2番
ヴァイオリン協奏曲
オーボエ協奏曲
合奏協奏曲（3曲）

管弦楽曲

弦楽のためのシンフォニエッタ
仮面劇のための序曲
魔法の島
ダービー・デイ
エリザベス朝舞曲

室内楽曲

弦楽四重奏曲第1番
弦楽四重奏曲第2番「春の水」
* 弦楽三重奏曲

ウィリアム・オルウィンの音楽は、その多様性と創造性によって、20世紀イギリス音楽の重要な一角を占めています。映画音楽での功績はもちろん、純粋な演奏会用作品においても、彼の個性的な声は多くの聴衆を魅了し続けています。

もう一度検索