ウィルソン山天文台

ウィルソン山天文台

ウィルソン山天文台（Mount Wilson Observatory, MWO）は、カリフォルニア州ロサンゼルス郡に位置し、サン・ガブリエル山系の標高1,742mの地点にあります。この天文台は、ロサンゼルスの北東、パサデナ郊外に位置しており、大気の安定性が優れているため、特に干渉法による観測において理想的な環境を提供しています。

歴史的背景

ウィルソン山天文台の創設には、ジョージ・エレリー・ヘールが深く関わっており、彼が初代所長となりました。彼はヤーキス天文台から40インチ（1m）望遠鏡を移設し、1904年にはワシントン・カーネギー協会からの支援を受けて天文台の運営が開始されました。当初はウィルソン山太陽観測所と呼ばれ、現在もカーネギー研究所が主要な支援団体として関与しています。

主要な望遠鏡

60インチヘール望遠鏡

1896年、ヘールはフランスのサンゴバン社から寄贈された口径60インチ（1.5m）のブランクミラーを受け取りましたが、天文台の建設はそれから数年後の1904年になって資金の確保ができた後に始まりました。1908年12月8日、望遠鏡はファーストライトを迎え、当時最大の望遠鏡として名を馳せました。特にこの望遠鏡は多くの天文学的成果を上げる重要な役割を果たし、分光分析や視差測定において技術革新を生み出しました。1992年には大気補正装置を搭載し、分解能を大きく改善。現在では一般公開され、訪れた人々がその目で天体を観測することができます。

100インチフッカー望遠鏡

フッカー望遠鏡はジョン・D・フッカーの支援を受けて1908年に建設が進められ、1917年に完成しました。この望遠鏡は、アルバート・マイケルソンによる光学干渉計の初導入を含む先進的な機構を備え、エドウィン・ハッブルによる銀河の発見にも寄与しました。長年にわたり世界最大の望遠鏡として君臨していましたが、1948年にその座をパロマー天文台の200インチ望遠鏡に譲りました。ただし、1992年に補償光学システムが導入され、再び輝かしい成果を上げることとなりました。

太陽望遠鏡

ウィルソン山天文台には複数の太陽望遠鏡が設置されており、特に60フィート塔望遠鏡と150フィート塔望遠鏡は学術研究に活用されています。これらの望遠鏡は、太陽物理学の研究に寄与しています。

干渉計システム

また、ウィルソン山の大気条件は干渉法観測においても優れており、マイケルソンは1919年にこの技術を用いて他の恒星の測定を行いました。赤外空間干渉計と呼ばれるシステムは、複数の望遠鏡を組み合わせて高い分解能を得ることができる先進的な観測技術です。

最近の状況

天文台の周辺環境は近年、山火事の影響を受けたり立ち入り制限などがあったものの、その都度回復を遂げ、研究は続けられています。現在、ウィルソン山天文台は観光地としても知られ、その美しい夜景を求めて多くの訪問者が訪れています。天文台の歴史や成果は、天文学の発展において重要な位置を占め続けているのです。

もう一度検索