ウェイマン・ティスデイル

ウェイマン・ローレンス・ティスデイル：バスケットボールと音楽、二つの才能を輝かせた男

ウェイマン・ローレンス・ティスデイル（Wayman Lawrence Tisdale, 1964年6月9日 - 2009年5月15日）は、アメリカ合衆国出身の元プロバスケットボール選手であり、同時に才能あふれるミュージシャンでもありました。206cmの恵まれた体格を生かし、パワーフォワードとして活躍。1984年のロサンゼルスオリンピックでは金メダルを獲得しました。

バスケットボールキャリア

オクラホマ州タルサで、牧師の父のもとに生まれたティスデイルは、幼い頃からバスケットボールに親しみました。14歳でダンクシュートができるほどの才能を開花させ、地元のブッカー・T・ワシントン高校ではスター選手として活躍。1982年にはマクドナルド・オール・アメリカンに選出されるなど、早くから注目を集めました。

オクラホマ大学に進学後も、その才能は開花し続けました。3年間で平均25.6得点、10.1リバウンドという驚異的な成績を残し、通算2,661得点、1,048リバウンドは、いずれも大学記録として今もなお破られていません。3年連続でオールアメリカ1stチームに選出、カンファレンス年間最優秀選手にも輝き、1985年にはNCAAトーナメントベスト8に進出しました。1984年にはロサンゼルスオリンピックのアメリカ代表に選ばれ、金メダルを獲得。オクラホマ大学史上最高の選手として、背番号『23』は永久欠番となっています。

1985年、NBAドラフト全体2位でインディアナ・ペイサーズに入団。3シーズン半在籍し、平均15.2得点を記録しました。1988-89シーズン途中にサクラメント・キングスへトレードされると、エースとして活躍し、1989-90シーズンには自己最高の平均22.3得点を記録。翌1990-91シーズンも平均20.0得点と好成績を残しましたが、ミッチ・リッチモンドの加入後はエースの座を譲りました。1994年にはフェニックス・サンズに移籍し、1997年に33歳で現役を引退しました。

NBAでの通算成績は、840試合に出場、12,878得点、5,117リバウンド（平均15.3得点、6.1リバウンド）でした。

音楽キャリア

ティスデイルはバスケットボール選手として活躍する傍ら、音楽活動も精力的に行っていました。少年時代から親しんでいたベースを手に、1995年にはモータウンからアルバム『Power Forward』でデビュー。ベーシストとして、これまでに計8枚のアルバムをリリースしています。2001年にリリースした「Face to Face」は、Billboard Hot 100のコンテンポラリー・ジャズ部門で1位を獲得。2002年には、オクラホマ・ジャズ殿堂から特別賞を授与されました。

闘病、そして早すぎる死

2007年、自宅の階段から転落し足を骨折したことがきっかけで、膝の骨肉腫が発見されました。化学療法は効果がなく、右足を切断。それでも彼は音楽活動を再開するなど、順調に回復しているように見えました。しかし、2009年5月15日、癌の放射線治療後の食道破裂により、44歳という若さでこの世を去りました。彼の死を悼み、1週間後に行われた追悼式には4,000人もの人々が参列しました。没後、トビー・キースやピーター・ホワイトなど、多くの著名なミュージシャンが彼へのトリビュート曲を発表しています。

2009年には、カレッジバスケットボール殿堂入りを果たしました。また、NCAAの新人王にあたるウェイマン・ティスデイル賞は、彼の功績を記念して命名されました。

ウェイマン・ティスデイルは、バスケットボール選手として、そしてミュージシャンとして、多くの人々に感動を与え、愛された人物でした。彼の音楽とスポーツに対する情熱は、これからも多くの人々の心に生き続けるでしょう。

もう一度検索