ウェストミンスター橋

ウェストミンスター橋：ロンドンの象徴と歴史

ウェストミンスター橋は、イギリスの首都ロンドンを流れるテムズ川に架かる橋です。ウェストミンスターとランベス地区を繋ぎ、北側にはウェストミンスター宮殿とビッグ・ベン、南側にはロンドン・カウンティ・ホールとロンドン・アイといった著名な建造物が位置しています。上流にはランベス橋、下流にはハンガーフォード橋とゴールデン・ジュビリー橋が架かっています。

橋の塗装は主に緑色で、これは庶民院の座席の色と同じです。ウェストミンスター宮殿に隣接する庶民院の場所を象徴しています。対照的に、上流のランベス橋は貴族院の座席の色である赤色に塗られています。2005年から2007年には大規模な改修工事が行われ、鉄製の鼻隠の交換や橋全体の再塗装が実施されました。

現在のウェストミンスター橋は1862年に完成した2代目です。1981年にはイギリス指定建造物の第二級建築物に指定されています。マラソン大会のゴール地点として利用された歴史も持ちます。

ウェストミンスター橋の歴史：建設と変遷

ロンドン南西部のキングストン・アポン・テムズには、600年以上も前に架けられた橋がありましたが、ウェストミンスターでは渡し舟が利用されていました。17世紀半ばから橋の建設が提案されましたが、シティ・オブ・ロンドン自治体や船頭たちの反対により頓挫していました。しかし、1729年にパトニー橋が建設されると、議会はついに1736年にウェストミンスター橋の建設を許可しました。

建設資金は、個人資産や宝くじ、寄付金などによって賄われ、1739年から1750年にかけて、スイス人建築家であるCharles Labelyeのデザインに基づき建設されました。この橋は、ウェスト・エンドと南ロンドン、サウス・コースト港を結ぶ重要な交通路として必要とされていました。ロンドン橋を通るルートは混雑していたため、ウェストミンスター橋の建設は非常に重要な意味を持っていました。

シティ・オブ・ロンドンは、ウェストミンスター橋に対抗して、ロンドン橋周辺の建物を拡幅する工事や、ブラックフライアーズ橋の建設などを行いました。さらに、同時期にはキュー橋、バタシー橋、リッチモンド橋などの建設も進みました。

19世紀半ばには、ウェストミンスター橋の地盤沈下が問題となり、維持費の高騰も懸念されました。そのため、橋の架け替えが決定し、トーマス・ペイジが設計した現在の橋が1862年5月24日に開通しました。長さ250メートル、幅26メートル、7つのアーチと精巧な鉄細工が特徴で、チャールズ・バリーによるゴシック風細工も施されています。現在では、セントラル・ロンドンでテムズ川に架かる最も古い橋となっています。

2017年には、テロ攻撃による事件が発生し、橋の上で暴走車が通行人をはね、運転手は国会議事堂に侵入するという痛ましい出来事がありました。

ポップカルチャーにおけるウェストミンスター橋

ウェストミンスター橋は、映画やテレビドラマ、文学作品など、様々なポップカルチャー作品にも登場しています。

映画『28日後...』: 荒廃したロンドンの象徴的な場所として登場し、主人公が生存者を探しさまようシーンが印象的です。

ブリッジズ・ハンディキャップ・レース: この橋がスタートとゴール地点となる歴史あるランニングレースです。

ウィリアム・ワーズワースのソネット: 詩人ウィリアム・ワーズワースは、この橋を題材にしたソネットを残しています。

『ドクター・フー』: SFテレビシリーズ『ドクター・フー』では、何度も登場し、時代を超えた物語の舞台として重要な役割を果たしています。様々な時代設定において、ダーレクやサイバーマンといった敵との戦いの舞台となっています。

『空飛ぶモンティ・パイソン』: コメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』でも、独特なユーモアを交えて描かれています。

映画『102』: クルエラ・ド・ヴィルが登場するシーンがあります。

映画『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』: 最終シーンで、重要な役割を果たしています。

映画『007 スペクター』: 悪役ブロフェルドがヘリコプターで墜落するシーンで登場します。

このように、ウェストミンスター橋はロンドンの歴史と文化を象徴する建造物であり、現在も人々の生活に深く関わっています。その歴史と文化的意義は、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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