ウェストランド ワイバーン

ワイバーン (Westland Wyvern)

ワイバーン（Westland Wyvern）は、イギリスのウェストランド社によって設計され、イギリス海軍艦隊航空隊で運用された戦闘雷撃機です。この航空機は、飛竜を意味する「ワイバーン」という愛称でも知られています。

開発の経緯

ワイバーンの開発は、初めにロールス・ロイス社製のレシプロエンジン「イーグル」を搭載した形で始まり、初飛行を果たしました。しかし、その後の方針変更により、エンジンはアームストロング・シドレー社製の「パイソン」に変更されました。これは、ロールス・ロイス社がジェットエンジン「エイヴォン」の開発に注力することに決めたことからの措置でした。

エンジンの変更に伴い、ギアボックスの設計も見直さざるを得なくなり、その結果、開発は予想以上に長引くことになりました。1949年にはパイソン搭載のワイバーンが初飛行を成功させましたが、エンジン変更によって航空機の重量が増大し、最高速度の低下という影響ももたらされました。

配備と実戦参加

1953年、ワイバーンは ブラックバーン ファイアブランドの後継機として配備が開始され、1954年には完全にファイアブランドからの更新が行われました。しかし、ワイバーンが配備された時期はすでにジェット機が主流であり、またエンジンの不具合も影響していたため、ワイバーンが実戦に投入されたのは1956年のスエズ動乱における一度に限られました。この時、HMSイーグル艦載の第830飛行隊がワイバーンを用いて地上攻撃を行いました。その後、1958年にはすべての機体が退役しました。

各型について

ワイバーンにはいくつかの型が存在しました。

• - W.34 ワイバーン TF Mk.1: 試作機。
• - W.35 ワイバーン TF Mk.2: 量産型ですが実戦配備には至らず。
• - W.38 ワイバーン T Mk.3: これは複座型の練習機で、1機のみが製作されました（シリアルナンバーはVZ739）。
• - W.35 ワイバーン TF Mk.4（S Mk.4）: 量産型で、実際に部隊配備されたのはこの型のみです。

現存する機体

ワイバーンは、現在にもいくつかの現存する機体があり、航空機の歴史を物語る重要な存在です。

関連項目

他の特筆すべき航空機として、ブラックバーンファイアブランドやスピアフィッシュが挙げられます。これらの機体も同時期の航空機開発において、重要な役割を果たしました。

ワイバーンはそのユニークな特性と運用歴から、航空史の中でも興味深い機体の一つとして、多くの航空ファンに愛されています。

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