ウェルズ恵子

ウェルズ恵子：アメリカ文化・ヴァナキュラー文化研究の第一人者

ウェルズ恵子氏は、日本のアメリカ文学・文化研究者、ヴァナキュラー文化研究者として、国内外で高い評価を得ている立命館大学教授です。1958年生まれ。津田塾大学卒業後、神戸大学大学院で学び、愛媛大学、立命館大学へとキャリアを重ね、2003年には立命館大学教授に就任しました。

幅広い研究分野と豊富な実績

彼女の専門は多岐に渡り、アメリカ黒人文化、19世紀から20世紀にかけてのアメリカ文化・文学、ヴァナキュラー文学（民話・民謡）、比較文化・文学、音楽文化、そして英語詩にまで及びます。特に「声の文化」と呼ばれる、民話や民謡といったヴァナキュラー文学の伝播や変容に強い関心を持ち、移民の経験や記憶との関連性を探る研究を精力的に行っています。

研究テーマは、「声の文化」のグローバルな視点からの体系的研究、「声の文化」と移民の経験・記憶の関連性、音楽関連文化と歌詞の比較文化研究、フォークソングやフォークテイル（おとぎ話・民話）の研究、そして日本の古浄瑠璃や説教節といった伝統的な語りとの比較研究など、多様性に富んでいます。

初期にはエズラ・パウンドを中心としたアメリカ現代詩の研究に携わっていましたが、近年はアメリカ民謡（フォークソング、黒人霊歌など）や民話へと研究対象を広げ、一次資料の発掘やフィールドワークにも積極的に取り組んでいます。

顕著な研究成果と国際的な貢献

その研究成果は、数多くの著書や論文として結実しています。代表的な著書には、『フォークソングのアメリカ ゆで玉子を産むニワトリ』（南雲堂）、『黒人霊歌は生きている 歌詞で読むアメリカ』（岩波書店）、『狼女物語 美しくも妖しい短編傑作選』（編・解説、工作舎）などがあります。これらの著作は、アメリカ文化への深い理解と独自の視点に基づいた、読み応えのある内容となっています。

また、彼女は国際的な研究活動にも積極的に参加し、City University of New York Research Awards審査委員や、様々な賞やコンテストの審査委員、出版助成図書選定委員などを歴任しました。2015年から2017年にかけては、アメリカ研究百科事典（オンライン英語版）の編集委員も務めています。

彼女の研究論文も高く評価されており、国内外の学術誌に多数掲載されています。例えば、“Japanese Folksongs Created by Child Nursemaids” (Ritsumeikan Studies in Language and Culture)や、“A Study of Shin Buddhist Song Lyrics Sung in the United States” (Pacific and American Studies)など、多くの論文がアメリカ文化、特に音楽文化や宗教文化に関する貴重な知見を提供しています。

アメリカ文化研究における貢献

ウェルズ恵子氏の研究は、アメリカ文化への深い理解と、鋭い分析力に基づいています。彼女は、単に文献を分析するだけでなく、一次資料の発掘やフィールドワークを通じて、アメリカ文化の生きた姿を捉えようとしています。

特に、黒人霊歌や民謡といったヴァナキュラー文学を通して、アメリカ社会の歴史や文化、人々の生活を多角的に探求する姿勢は、高く評価されるべきでしょう。彼女の研究は、アメリカ文化研究に新たな視点を提示し、更なる発展に貢献していることは間違いありません。

彼女の今後の研究活動からも目が離せません。

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