ウォッチドッグス

ウォッチドッグス (Watch Dogs)

『ウォッチドッグス』は、Ubisoft Montrealが開発したオープンワールド型アクションゲームです。タイトルは「番犬」や「監視役」を意味し、古代ローマの詩人ユウェナリスの「誰が見張りを見張るのか」という言葉を暗示しています。略称は『WD』です。

当初2013年11月19日に発売予定でしたが延期され、2014年5月27日に北米、6月26日に日本で発売されました。Wii U版は2014年11月18日発売です。世界中で初週400万本を売り上げ、6週連続でトップセールスを記録。Ubisoftの2014年度第2四半期業績報告では、出荷本数900万本を達成。新規IPとしてはゲーム業界最大のセールス記録となりました。2015年6月25日にはPS3/PS4版のベスト版が発売されました。

2016年6月には、3年後のサンフランシスコを舞台にした続編『ウォッチドッグス2』が発表されています。

ゲーム概要

舞台は、ブルーム社が開発した「ctOS（Central Operating System）」によって全ての都市インフラが管理されている2013年のシカゴ。プレイヤーは主人公エイデン・ピアースとなり、ハッキング能力を駆使して物語を進めます。

オープンワールドで、特色ある6つの地区に分かれた広大な都市を舞台に、建物の構造やオブジェクトが精密に構成されています。オンライン対戦を前提とした設計で、隠れる、尾行などの行動をより確実に行えるよう、密度が高いのが特徴です。

エイデンは、特殊なスマートフォンでctOSにバックドアからアクセスし、街中のあらゆるデバイスをハッキングできます。

個人情報へのアクセス: 通行人などの氏名、職業、年収、生年月日、犯罪記録、医療記録、趣味嗜好、銀行口座などを閲覧
通信の傍受と妨害: 通話やメールの盗聴、携帯電話などの通信妨害
監視カメラの操作: 路上や室内の監視カメラの操作
不正な金銭取得: ATMをハックして不正に金を引き出す
インフラの操作: ゲートや車両の開錠、信号機をハックして事故を誘発、跳ね橋や車止めを操作して敵の車両を阻止、配電盤やスチームパイプを爆発、停電、列車（シカゴ・L）を停止
周辺機器の操作: 店舗の音楽、クレーン、リフト、自動販売機、おもちゃ（Raving RabbidsやBig Mouth Billy Bassなど）、電光掲示板（「IT'S OVER 9000!!!」などの流行語を表示）を作動させて敵の注意を引く

街中にはctOSを宣伝するモニターやトラック、ラジオCMがあふれており、その浸透度が窺えます。一方、裏路地には監視社会への危惧を暗喩するような落書きが多数存在し、ctOSの脅威をどのように扱うかが、プレイヤーに問われています。

ゲーム内には無数の人々が生活しており、それぞれに固有のバックストーリーが存在します。アイシャ・タイラー本人や、チャック・ノリスと同名の人物も登場します。

ミッションは、銃撃戦、カバーシステム、スローモーション機能「フォーカス」、ステルス、テイクダウン、カーチェイス、パルクールなどのアクションを、ハッキング要素と組み合わせた内容です。同じシーンでもプレイヤーによって異なる展開になりえます。

メインミッションの進行に関係なく、マップ上のサイドミッションをプレイできます。全てを合わせると、サイドミッションの総プレイ時間はメインミッションの倍ほどになります。

コンパニオンアプリ

2014年5月27日には、スマートフォン・タブレット端末向け無料アプリ「ctOS モバイル」が公開。アプリユーザーは、本編を所有していなくても、ゲームをプレイ中のユーザーと対戦できます。アプリ側は、本編側のプレイヤーのチェックポイント巡回を妨害するために、ヘリコプターを操作したり、ハッキングで障害物を設置したり、警察車両を手配します。2020年現在、サービスは終了しています。

登場人物

主人公とその協力者

エイデン・ピアース (Aiden Pearce) (日本語版声優: 森川智之)
本作の主人公。優れたハッキング能力を持つフィクサー。北アイルランド・ベルファスト出身のアイルランド系アメリカ人。39歳。
家族を守るため、幼い頃から銃の扱い方を学び、裏社会のフィクサーとして活動。ハッカーのダミアン・ブレンクスと知り合い、ハッキング技術を習得。
姪のレナ・ピアースを殺害されたことをきっかけに、復讐と真実を暴くために戦う決意。
ctOSの犯罪予測システムに介入し、自警団として活動。協力者や家族には優しい反面、度が過ぎた監視行為も。
キャップとスカーフがトレードマーク。瞬発力、集中力、ハッキング能力を活かして戦う。
セーフハウスはモーテルやctOSコンテナ。
『ウォッチドッグス2』のサイドミッション、『ウォッチドッグス レギオン』にはプレイアブルキャラクターとして登場。

ニコル "ニッキー" アン・ピアース (Nicole "Nicky" Anne Pearce) (日本語版声優: 本田貴子)
エイデンの妹で、レナとジャクソンの母親。シングルマザー。34歳。イベントプランナー。
エイデンのビジランテ活動を知らず、いつも兄を心配している。
ダミアンに誘拐され、エイデンへの協力の強要に利用される。
救出後、シカゴを離れる。

ジョルディ・チン (Jordi Chin) (日本語版声優: 山野井仁)
エイデンが雇ったフィクサー。赤シャツにグレーのスーツ姿の中国系アメリカ人。身長185cm。
ジョークを飛ばす軽い印象だが、金銭のためならどんな仕事もこなすビジネスマン。
裏社会から表社会まで幅広いコネクションを持ち、エイデンに情報や武器を提供する。
戦闘能力が高く、SVDやSR-25などの武器も扱う。
続編であるウォッチドッグス2のストーリーDLC『ヒューマン・コンディション』にも登場。

クララ・ライル (Clara "BadBoy17" Lille) (日本語版声優: 宮島依里)
ハッカー集団「デッドセック」のメンバー。28歳。カナダ・ケベック州出身。タトゥーアーティスト。エイデンの協力者。
「BadBoy17」として、エイデンに情報を提供していた。
ラッキー・クインに雇われ、エイデンとダミアンの身元を特定しようとしたが、レナの死を悔い、贖罪のためにエイデンに協力する。
ダミアンの人質交換に応じようとした際、ダミアンの刺客に殺害される。

レイモンド "T・ボーン" ケニー (Raymond "T-Bone Grady" Eugene Kenney) (日本語版声優: 山路和弘)
天才ハッカー兼システムエンジニア。52歳。
ブルーム社のctOS開発に携わるが、その危険性に気づき、内部告発を試みるも追われる身となる。
ブルームの危険性を訴えるため、2003年にアメリカ北東部で大規模停電を引き起こした。
遠隔操作可能なオブジェ兼無人兵器を作成する芸術家でもある。
追加シナリオ「Bad Blood」では主人公を務める。

トビアス・フルーワー (Tobias Frewer) (日本語版声優: 高戸靖広)
元ブルーム社員のホームレス。T・ボーンと共にctOS開発を担当。
被害妄想が強く、人間不信のため、薬を服用し、人目を避けて暮らしている。

シーラ・ビリングス
追加シナリオ｢Bad Blood｣に登場するシカゴ市警察の刑事。正義感溢れる善良な警官。
身分を隠して接触したT・ボーンを「謎の男さん」と呼び、様々な仕事を依頼してくる。

敵対者

モーリス・ヴェガ (Maurice Vega) (日本語版声優: 森田順平)
エイデンに報復を仕掛けた実行犯。姪を死なせてしまったため、エイデンに恨まれている。
序盤で追い詰められ、ジョルディに拘束される。
アビーという妻が居るが、フィクサーの仕事を強要され、エイデンの抹殺に失敗した事でアビーが薬物過剰投与されたうえで人身売買オークションに掛けられた。

デルフォード "イラク" ウェイド (Delford "Iraq" Wade) (日本語版声優: 村治学)
ギャング集団「ブラック・バイスロイズ」のリーダー。アフリカ系アメリカ人。26歳。元イラク戦争従事者。
ネットワークを駆使する者が現代の敵だと理解している。
自身の秘密情報をサーバーに保管している。
エイデンとの戦いの末に死亡。マーロットホテルにいた「もう一人のハッカー」である事をほのめかしていた。

タイローン "ベッドバグ" ヘイズ (Tyrone "Bedbug" Hayes) (日本語版声優: 大西健晴)
「ブラック・バイスロイズ」の一員。19歳。イラクの従兄弟。
エイデンがバイスロイズに潜入するために利用する。

ダーモット "ラッキー" クイン (Dermot "Lucky" Quinn) (日本語版声優: 中博史)
実業家。「シカゴ・サウス・クラブ」のオーナー。75歳。アイルランド出身。
慈善家として知られているが、シカゴの裏社会を操る権力者。シカゴ市長を傀儡にしている。
エイデンとダミアンを襲撃させた黒幕。
エイデンにctOS接続ペースメーカーをハッキングされて死亡。

ダミアン・ブレンクス (Damien Brenks) (日本語版声優: 三上哲)
ハッカー。エイデンの師。
マーロットホテルのハッキングの際、謎の映像を目撃。左足に後遺症が残る。
ニッキーを誘拐し、エイデンに協力を迫る。
ブルームと取引し、エイデンとT・ボーンを売り渡そうとする。
ctOSを完全掌握しようとするが、エイデンに阻止され、射殺される。

JB “デフォルト“マコヴィッツ (JB "Defalt" Markowicz)
DJだが、裏ではプロのハッカー。25歳。ポーランド出身。
常にネズミの形のお面を被っており、正体不明。
「Bad Blood」で、T・ボーンに兄を殺された復讐者であることが判明。
T・ボーンを毒ガスで殺害しようとしたが、逆にガスを浴びて死亡。
ウォッチドッグス2では、彼の思想に賛同するハッカー集団が登場する。

マルチプレイ

シングルプレイ中からシームレスに移行できる6種類のマルチプレイモードがあります。他のプレイヤーは市民の外見として表示され、シングルプレイ中でも他のプレイヤーが潜んでいる可能性があります。

オンラインハッキング: 他プレイヤーの世界に侵入し、ハッキングを行う1vs1モード。侵入側は市民に紛れ、ハッキング完了まで逃げ切る。侵入された側は、ハッカーを見つけ出す。
オンライン尾行: 他プレイヤーを尾行するモード。見つかるとオンラインハッキングと同様の状況になる。
ctOSモバイルチャレンジ: アプリ連携で、チェックポイントを通過するモード。ハッキングで妨害できる。
オンラインレース: 最大8人(PS3/Xbox 360/Wii Uは4人)まで参加可能なレース。ハッキングや激突も可能。
オンライン解読(PS4/Xbox One/PCのみ): 4vs4チーム戦。ファイルを長く所持したチームが勝利。ジャミングで相手の解読を一時停止できる。
フリーローム(PS4/Xbox One/PCのみ): 制限なしで自由に振る舞えるモード。

デジタルトリップ

幻覚の世界で遊べるシミュレーテッドリアリティのミニゲーム集。バイノーラルビートで脳に低周波パルスを生成させてプレイします。各トリップごとに専用のスキルが存在します。

スパイダータンク: 巨大な蜘蛛型兵器を操り、破壊ミッションをこなす。
マッドネス: 悪魔が徘徊する街を改造車で駆け回り倒す。
アローン: ctOSアンドロイドを警戒しながらジェネレーターをハッキング。
サイケデリック: 巨大な花を大ジャンプで進みゴールを目指す。
コンスピラシー(DLC): 街に紛れたサイボーグを探し排除する。

その他のミニゲーム

スマートフォンの拡張現実アプリとして、以下のミニゲームがプレイできます。

NVZN: 空中を浮遊するデジタルエイリアンを倒すシューティングゲーム。
キャッシュラン: 街中のコースでコインを集めるフリーラン。

また、ポーカー、チェス、スロットマシン、シェルゲーム、ドリンクゲームなど、数多くのゲームスポットが存在します。

追加キャンペーン”Bad Blood”

T・ボーンが主人公の追加シナリオ。本編終了後のシカゴが舞台で、新しいミッションやロケーションが登場します。T・ボーン専用のギミックや武器を使用可能。

マルチプレイ

他のプレイヤーと協力してミッションを遂行する”ストリート・スイープ”モードが追加。ソロプレイも可能です。「オンラインハッキング」「オンライン尾行」「ctOSモバイルチャレンジモード」も引き続きプレイ可能。

主な登場武器

手持ち武器

特殊警棒
ピストル (P-9mm, Px4, 1911, R-33, D50, M8-M)
サブマシンガン (SMG-11, MP-9mm, R-2000, MP5, Vector.45ACP, Gangster)
アサルトライフル (OCP-11, 416, 417, AK-47, Goblin, ACR, U100)
ショットガン (D12, SG-90, SGR-12, M1014, ATSG-12)
スナイパーライフル (SR-25, SVD, AC-AR, M107)
* グレネードランチャー (G106, GL-94)

サウンドトラック

Brian Reitzellが担当しました。

PC版について

発売当初、CDキーが無効になる問題が発生。Ubisoftは、認証システムのサーバー不具合が原因と発表し、後に正常化しました。

Wii U版について

他機種版より遅れて発売。開発が遅れた理由は、他機種版の開発が遅れていたため、Wii U版の開発を一時停止していたため。開発スタジオはUBIソフト・ルーマニア。Wii Uの機能を最大限に活用するために、ルーマニアスタジオが選定されました。

日本国外版との変更点

CEROの倫理規定により、性的表現が削除されています。

外部リンク

公式ウェブサイト

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