ウォルター・デ・マリア

ウォルター・デ・マリア（1935年10月1日 - 2013年7月25日）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州オールバニで生まれ、その生涯を通じて彫刻、音楽、インスタレーションなど多岐にわたる分野で活躍した芸術家です。

カリフォルニア大学バークレー校で歴史学と美術を学んだ後、1960年にニューヨークへ移り、制作活動を開始しました。初期にはダダイスムなどの美術運動の影響を受けた彫刻作品を手掛け、幾何学的な形態や、ステンレスやアルミニウムなどの工業素材を積極的に用いるなど、後のミニマル・アートを特徴づける要素を早くから取り入れていました。

1960年代半ば以降、デ・マリアは芸術活動の幅を広げ、ハプニングに参加したり、二つのミュージカル（『Cricket Music』1964年、『Ocean Music』1968年）を作曲したり、二つの映画（『Three Circles and Two Lines in the Desert』、『Hardcore』、いずれも1969年）を制作したりしました。また、ロックバンド「ザ・プリミティヴス」や、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの前身となったグループ「ザ・ドラッズ」でドラマーを務めるなど、音楽分野でもその才能を発揮しました。

1968年頃からは、ミニマルな彫刻やインスタレーション作品を制作するようになり、同年にはモハーヴェ砂漠で1マイルに及ぶ平行線を引く『マイル・ロング・ドローイング』を制作するなど、アメリカ南西部の砂漠を舞台にしたランド・アートのプロジェクトを数多く手掛けるようになります。デ・マリアは、風景、自然、光、天候といった要素が、鑑賞者に強烈な身体的・精神的な体験をもたらすような状況を作り出すことを追求しました。

彼の代表作として知られるのは、1977年にニューメキシコ州カトロン郡の砂漠に設置された『ライトニング・フィールド』です。1マイル×1キロメートルの範囲に400本のステンレス製のポールが格子状に配置されたこの作品は、訪れる日や天候によって全く異なる表情を見せます。特に、この地域で頻繁に発生する雷がポールに落ちる様子は、その光と轟音とともに、観る者に忘れがたい体験を与えます。

デ・マリアの作品は、自然と人工物、時間と空間、そして人間の知覚といった、芸術における根源的なテーマを探求しています。彼の作品は、単に視覚的な美しさを追求するだけでなく、鑑賞者自身の身体感覚や精神的な体験を通して、世界に対する新たな認識を促すことを目指しています。香川県の地中美術館には、デ・マリアの大規模なインスタレーションが常設展示されており、日本でも彼の作品に触れることができます。

2013年7月25日、ウォルター・デ・マリアはロサンゼルスで77歳で亡くなりました。脳卒中の治療中でした。彼の残した作品は、今もなお多くの人々に感動を与え続け、現代美術の世界において重要な存在として、その名を刻んでいます。

参考資料:
Hurd, P (ed.) 2000, The Prestel Dictionary of Art and Artists in the 20th Century, Prestel Verlag, Munich.
Mccord, R. The Lightning Field. Santa Fe Always Online. http://www.sfaol.com/mccord/lightning.html

外部リンク:
ウォルター・デ・マリアに関する文献 - ドイツ国立図書館
Thomas Dreher: "Vernetzungskünstler"
The Lightning Field
The Broken Kilometer
5 Kontinente Skulptur
The 2000 Sculpture
ライトニング・フィールド
Official website
Photo at usc.edu
A Pilgrimage to The Lightning Field by Todd Gibson
* Art critic Tyler Green visits Lightning Field

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