ウォルビスベイ

ウォルビスベイ：ナミビアの港湾都市

ウォルビスベイ（Walvis Bay）は、ナミビア共和国の中央部に位置する港湾都市です。エロンゴ州に属し、大西洋に面した天然の良港を有しています。アフリカーンス語で「クジラ」を意味する「Walvis」に由来し、英語ではホエールベイ（Whale Bay）とも呼ばれます。

自然と環境

ウォルビスベイは、干潟や砂洲が広がるウォルビス湾に面しており、フラミンゴをはじめとする多様な鳥類が生息する重要な生息地となっています。1995年にはラムサール条約登録地にも指定され、国際的にもその価値が認められています。

歴史的背景

ウォルビスベイの歴史は複雑で、複数の国の影響を受けてきました。

発見と初期の領有: 1487年、ポルトガルの探検家バルトロメウ・ディアスがこの地を発見し、「O Golfo de Santa Maria da Conceição」と名付けましたが、ポルトガルは領有権を主張しませんでした。
イギリスの領有: 1840年、イギリスがケープ植民地と本国を結ぶ航路の中継地としてウォルビスベイとその周辺を領有しました。1910年には、ドイツの進出を防ぐため南アフリカの一部として併合されました。
ドイツの占領と南アフリカの委任統治: 第一次世界大戦中、ドイツが一時的に占領しましたが、戦後、南西アフリカが国際連盟により南アフリカの委任統治領となり、ウォルビスベイも南西アフリカに併合されました。
南アフリカによる併合とナミビアの独立: 1977年、南アフリカは戦略上の重要性からウォルビスベイをケープ州に併合しました。1990年にナミビアが独立した後も、南アフリカはウォルビスベイを自国領土として実効支配を続けました。
ナミビアへの返還: ナミビア政府の度重なる返還要求の結果、1994年3月1日にウォルビスベイはナミビアに返還されました。この背景には、税関手続きの煩雑化を懸念する現地企業や経済界からの強い要望がありました。

ナミビアへの返還

南アフリカがウォルビスベイの返還に応じた背景には、いくつかの要因がありました。

経済的な懸念: ウォルビスベイが南アフリカ領のままだと、周囲を囲むナミビアとの間で税関手続きが煩雑になり、経済活動に支障が出ることが懸念されました。
現地経済界の圧力: ナミビアが独立したにもかかわらず、ウォルビスベイだけがアパルトヘイトによる経済制裁を受け続けるのではないかという懸念から、現地の企業や経済界（主に白人や英米南ア資本）が、南アフリカにウォルビスベイのナミビアへの引き渡しを強く要求しました。
ANCとSWAPOの関係: 1994年4月に南アフリカの政権を奪取したアフリカ民族会議（ANC）は、ナミビア与党の南西アフリカ人民機構（SWAPO）と旧来から親密な関係にあり、いずれにしても返還は時間の問題でした。

現在のウォルビスベイ

現在、ウォルビスベイはナミビア経済において重要な役割を果たしており、国内外の貿易拠点として機能しています。また、美しい自然環境は観光資源としても注目されており、多くの観光客が訪れます。

関連項目

国道B2号 (ナミビア)

外部リンク

世界飛び地領土研究会―ウォルビスベイ - ウェイバックマシン

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